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九州大学 研究Discovery Saga
2025年3月11日

次世代電池の内部挙動シミュレーターの開発に成功

~体積膨張が激しい高容量電池の長寿命化・早期実用化に貢献~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
再生可能エネルギー/内部構造/全固体電池/電気化学反応/カーボンニュートラル/持続可能/持続可能な開発/電池/カーボン/シミュレーション/シミュレータ/シリコン/自動車/長寿命化/電解質/電気化学/電気自動車/寿命/構造変化

工学研究院

井上 元 教授

2025.03.11 研究成果Math & DataPhysics & ChemistryMaterialsTechnology

発表のポイント

  • カーボンニュートラル実現に必須である次世代電池のシミュレーターを開発
  • 活物質粒子の膨張・収縮と全固体電池の内部現象を統合的に評価
  • 全固体電池の早期実用化やDX技術を基盤としたデバイス開発に期待
  • 発表概要

    電気自動車や再生可能エネルギーの全世界的な利用普及には、高性能・安全・長寿命な電池の開発が必要不可欠です。全固体電池は、液体の電解質を用いないため、液漏れや発火のリスクがなく、容量も大きく、次世代電池として期待されています。しかしながら、電気を蓄える活物質が充電時に体積膨張を起こしてしまうため(シリコンの場合で最大300%)、性能低下が起きやすく、寿命が短いという課題があります。また、粒子の膨張と収縮に伴い、電池内部の構造が劇的に変化し続けてしまうため、どのように性能が低下していくのか、どうすれば寿命が延ばせるのかが、十分にわかっていませんでした。
    今回、全固体電池の内部機構を解明するシミュレーターが開発されました。このシミュレーターでは、充電・放電に伴う活物質の膨張と収縮から、それに伴う電池全体の内部構造変化、電池としての性能変化やその要因までを詳細に可視化できます。
    九州大学大学院工学研究院の宗 マグヌス 学術研究員/特任助教、井上 元 教授らの研究グループは、個々の粒子すべてに働く力を解析する技術と、電気化学反応を電位場や濃度場から計算する技術を組み合わせました。これにより、電池製造時の機械的な力から、粒子膨張に伴う内部構造変化、さらに電池の劣化までを統合的に再現できるようになりました。
    今回のシミュレーターのように、粒子の動的な変形と電気化学反応計算を連成させた例は世界的にありません。このシミュレーターと、それにより得られる種々の計算結果は、全固体電池の高性能化と早期実用化に大きく貢献することが期待されます。
    本研究成果は、Wiley社の国際誌「Advanced Functional Materials」に2025年2月9日(日)に掲載されました。
    井上教授からひとこと

    全固体電池内部のシミュレーション結果例
    高度なDX技術を用いて、新規材料開発からシームレスにデバイス・システム化につなぐこのようなアプローチは、新たな研究開発戦略として有望と考えています。今後の展開にもどうぞご期待ください。

    論文情報

    掲載誌:Advanced Functional Materials
    タイトル:Role of Pressure and Expansion on the Degradation in Solid-State Silicon Batteries: Implementing Electrochemistry in Particle Dynamics
    著者名:Magnus So, Takeru Yano, Agnesia Permatasari, Van Lap Nguyen, Gen Inoue*
    DOI:10.1002/adfm.202423877
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