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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年3月27日

軽運動でも生じる海馬の活性化には脳幹で作られたドーパミンとノルアドレナリンが重要

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域生物学工学総合生物医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
運動処方/脳神経回路/神経系/アミン/持続可能/持続可能な開発/シナプス/ドーパミン/トレッドミル/パフォーマンス/モノアミン/可塑性/神経伝達物質/セロトニン/ノルアドレナリン/ラット/神経回路/神経細胞/海馬/生理学
医療・健康
(Image by Juice Dash/Shutterstock)

概要

低強度運動でも脳の海馬が活性化する基盤として、ドーパミンなどモノアミン系の神経伝達物質が関与するかどうかを検証しました。脳幹の腹側被蓋野に由来するドーパミンと青斑核に由来するノルアドレナリンが、低強度運動による海馬の活性化を調節する脳神経回路として関連することが想定されました。

 近年、軽めのジョギングやヨガに相当する低強度の運動でも海馬が活性化され、神経細胞の数が増えたり、記憶力が良くなったりすることが分かってきました。しかし、運動中の脳内では、どのような神経回路が作動し、海馬の神経細胞を活性化しているのか、詳細なメカニズムは不明です。
 脳内の神経細胞の活動や可塑性を調節する重要な神経伝達物質として、モノアミンと総称されるドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニンがあります。これらは脳幹に集積する細胞において産生されています。海馬に送り届けられたモノアミンは神経細胞やシナプスの可塑性を促し、記憶力を調節する因子としての役割を発揮します。このため本研究チームは、低強度運動による海馬の活性化にも脳幹由来のモノアミン作動性神経系が関与する、とする仮説を立てました。
 この仮説を検証するため、本研究ではヒト運動時の生理応答を模倣するラットのトレッドミル走運動モデルを用い、強度の異なる運動が海馬のモノアミン濃度及び脳幹モノアミン作動性神経細胞の活性化に与える影響を評価しました。その結果、海馬ではドーパミンとノルアドレナリンが低強度運動でも増加することが分かりました。さらに脳幹では、それらの供給源となり得る、腹側被蓋野のドーパミン産生神経細胞と青斑核のノルアドレナリン産生神経細胞が低強度運動でも活性化し、さらに、海馬神経細胞の活性化とは正の相関関係を示すことが明らかになりました。
 本研究から、低強度運動が海馬を活性化させる神経回路として、腹側被蓋野に由来するドーパミンと青斑核に由来するノルアドレナリンが重要である可能性が示されました。さらなる研究を通じ、低強度運動による記憶力向上の神経回路メカニズムが明らかになり、低強度運動を基盤とした運動処方の有効性を裏付けることが期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学 体育系/ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)
征矢 英昭 教授

掲載論文

【題名】
Light-exercise-induced dopaminergic and noradrenergic stimulation in the dorsal hippocampus: Using a rat physiological exercise model
(低強度運動による海馬背側部へのドーパミン・ノルアドレナリン作動性刺激:ラットの生理学的運動モデルを用いて)
【掲載誌】
The FASEB Journal
【DOI】
10.1096/fj.202400418RRR

関連リンク

体育系
ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)