行動的随伴性の基礎研究ーその微視的過程と巨視的過程
【研究分野】心理学
【研究キーワード】
強化随伴性 / 選択行動 / 弾力性 / 加齢 / 行動経済学 / ト-クン / ハト / ラット / 加齢(エ-ジング)
【研究成果の概要】
1.論理的に考えうる行動随伴性には、(1)行動Bに随伴して正の強化子Rが提示される、(2)Bに随伴して負のRが除去される、(3)Bに随伴して正のRの除去を回避する、(4)Bに随伴して負のRの提示を回避する、(5)Bに随伴して正のRが除去される、(6)Bに随伴して負のRが提示される、(7)Bに随伴して予定された正のRの提示が解消される、(8)Bに随伴して予定された負のRの除去が解消される、の8種類があり、これらのうち(1)から(4)は行動の維持が予測され(5)から(8)は行動の消失が予測される。この8種類の行動随伴性の効果を混成スケジュ-ルにより同時に検証する実験を、デンショバトにより実施中である。
2.固定比率強化スケジュ-ル下の需要曲線の弾力性への加齢効果については、昨年度に引き続き、(1)4加齢群からなるラットを被験体として実験を遂行した。また新たに、(2)安定体重と等しくなるように付加給餌を与え強制的に需要曲線を弾力的にさせた開放経済的実験環境下での2加齢群間での差、(3)実験歴の有無の弾力性への効果についても検討した。その結果、(1)高齢になるほど高い比率(価格)の部分で曲線が、若齢に比較してより弾力的になること、(2)開放経済的実験環境への移行により低比率で弾力的になるが、(1)と同じ加齢差がみられたこと、(3)15ヵ月齢において実験歴の有無は、弾力性における差を産み出さないことが明確となった。
3.ハトのト-クン研究については、運搬行動の訓練を暫く続行した後ト-クン獲得行動の形成を行なった。この行動はト-クンを条件性強化子とした逐次接近法によりキ-つつき反応を形成するという形で比較的容易に形成・維持することができた。更に獲得行動に対して固定化率強化スケジュ-ル導入し、比率を3段階に変化させて、その効果が餌を強化子とした場合と類似していることを確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
坂上 貴之 | 慶應義塾大学 | 文学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1989 - 1990
【配分額】6,500千円 (直接経費: 6,500千円)