インド・ビルマにおける農村諸工業の発展:1920〜50年代の数量分析を中心に
【研究分野】経済史
【研究キーワード】
東南アジア / インド / ビルマ / 農村工業 / 植民地経済 / 女子労働 / ネットワーク / 工業 / 植民地
【研究成果の概要】
本研究の課題は、1930年代の世界不況の中でインドとビルマの農産物輸出は激減したが、国内を市場とする小規模農村工業は逆に発展したのではないかという仮説を実証することであった。
柳澤は、まず精米所、繰棉工場、落花生工場を取り上げ、これらの輸出指向型産業は1920年代からの不況期に輸出が減少し衰退したという議論に対し、インド国内の需要に対応してその生産はむしろ拡大したことを実証した。
清川は、第1次大戦後のインド棉の需要の増加のもかかわらず、これまでほとんど注目されてこなかった繰棉業に注目し、この需要増に伴って手繰りが著しく衰退したが、これに代わって機械化が進んだこと、工場労働力として女子か積極的に雇用されたことを実証した。特に後者の発見はインド経済史にとって非常に重要な貢献である。
大石は1920年初頭の関税政策の変更によるインド国内でのマッチ製造業の興隆と、その中でのムスリム商人と日本のメーカーとのネットワークと合弁事業、そしてこれに対抗するヒンドゥー民族資本家の成長と両者の対立を政治経済学的に分析した。
高橋は、インドのこうした動きと並行するビルマでの農村工業の状況を解明しようとしたが、これに関する資料が非常の乏しく、これを実現することができなかった。これの代替措置として、研究課題にも副次的に含めていた社会主義時代のビルマの農村工業の発展と現状に関する研究を行い、その一環として、無数に存在するがこれまで研究されることのなかったヤンゴン近郊の家内工業についての実態調査を論文にまとめた。
【研究代表者】