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京都大学 研究Discovery Saga
2025年3月31日

iPS心組織で電気信号の流れを改善

―ブタ心筋傷害モデルを用いた検討―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
筋細胞/マッピング/iPS細胞/心筋/心筋細胞/トレーニング/心機能/心筋梗塞/心臓/細胞シート/組織工学/幹細胞/再生医療/多能性幹細胞/電気生理学/ヒトiPS細胞/生理学
この研究の主な対象者 企業・研究者の方 公開日

概要

心臓病における新たな治療法として、iPS細胞などの多能性幹細胞を用いた心臓再生医療が期待されています。升本英利 医学部附属病院特定准教授(兼:理化学研究所上級研究員)、黒田悠規 同博士課程学生らの研究グループは、心筋障害を引き起こしたミニブタの心臓にヒトiPS細胞から作製した心臓組織を移植し、心筋障害に起因する電気信号の伝わりにくさ(伝導障害)が改善されることを確認しました。
 本研究グループは、ヒトiPS細胞から誘導した心筋細胞や血管細胞から細胞シートを作製し、動的トレーニング培養を加えることによって、血管構造を持つ「血管化心臓組織」を作製しました。この人工的な心臓組織をブタの心筋傷害モデルに移植し、心表面マッピング法による電気生理学的評価を行うことで、伝導障害の改善効果を実証しました。組織移植群では移植1週間後に心筋障害部位での伝導速度が対照群よりも速くなることが確認されました。組織移植を行ったブタでは、心筋障害部位においてより多くの心筋組織が残存しており、これが伝導障害の改善につながったと考えられます。これらの結果は、iPS細胞を用いた心臓再生医療の効果における新たな視点での発見であり、再生医療の発展に寄与することが期待されます。今後はiPS心臓組織のさらなる改良を進め、より長期の観察や心機能改善効果を含めた検討を行っていく予定です。
 本研究成果は、2025年3月17日に、国際学術誌「JTCVS Open」にオンライン掲載されました。
本研究の概要図

  研究者のコメント 「私たちの研究は、心筋梗塞などで心臓に傷害を受けた患者さんに新たな希望を届けたいという思いから始まりました。心筋の伝導障害を改善するこの技術は、iPS細胞研究と組織工学の融合による成果です。試行錯誤の連続でありましたが、チームで力を合わせることで課題を乗り越えてきました。今後も改良を進め、より多くの患者さんに役立てる治療法の実現を目指します。」(升本英利)

詳しい研究内容について

iPS心組織で電気信号の流れを改善―ブタ心筋傷害モデルを用いた検討―

研究者情報

研究者名 升本 英利
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.xjon.2025.03.006

【書誌情報】
Yuki Kuroda, Jun Iida , Kozue Murata , Yuki Hori , Jumpei Kobiki , Kenji Minatoya , Hidetoshi Masumoto (2025). Transplantation of vascularized cardiac microtissue from human iPS cells improves impaired electrical conduction in a porcine myocardial injury model.JTCVS Open.

関連部局

医学部附属病院