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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年3月11日

体組成計の計測データから要介護化リスクが高い高齢者を予測可能に

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
筋細胞/持続可能/持続可能な開発/電気抵抗/周波数/細胞膜/筋肉/追跡調査/日常生活/要介護/体組成/高齢化/高齢者/地域在住高齢者
医療・健康
(Image by BGStock72/Shutterstock)

概要

体組成計は乗るだけで体重や体脂肪量、筋肉量などさまざまなデータが計測できる便利な機械です。その計測データから筋肉の質を示す指標(筋細胞の状態や細胞外内の水分比率)を評価すると、要介護化リスクが高い高齢者を予測可能なことを、最長12年間の追跡研究で明らかにしました。
 世界的に高齢化が進む中、高齢者の機能低下や要介護化の予防は喫緊の課題となっています。簡単に行える身体状態の測定方法に、体組成計を用いた筋肉量の評価があります。しかし、近年の研究では筋肉量と健康の関係性に疑問が呈され、「筋肉の質」にも注目する必要性が指摘されています。
 体組成計では、生体に微弱な交流電流を流し、その電気抵抗を計測しています。複数の周波数の電流を流すことで、細胞膜の状態(phase angle)や細胞外内の水分比率を評価できます。これにより、筋肉の収縮に貢献する組織とそうでない組織、つまり「筋肉の質」を評価できるとされています。日常生活動作には筋肉の収縮が欠かせないため、当指標が将来の要介護化リスクと関連する可能性があります。
 そこで、本研究では、茨城県笠間市の高齢者(858人)を対象に、二つの指標(phase angleと細胞外内の水分比率)を体組成計の計測データから算出しました。そして、最長で12年間、これらの高齢者を追跡し、要介護化との関連性を検証しました。
 その結果、下肢の筋肉の質を反映するphase angleや細胞外内の水分抵抗比率が低値である人は将来の要介護化リスクが高いこと、特に各指標の中央値より低値である場合にその傾向が高まることが分かりました。また、調査結果に基づき、それぞれの指標について、4年間と10年間のうちに、要介護化しやすいかどうかを示す基準値を算出しました。なお、従来の筋肉量の指標は要介護化に対し、有意な関連を認めませんでした。
 体組成計は乗るだけでさまざまな項目が計測でき、装置を操作する測定者も必要ありません。医療現場や公民館など地域の交流場に設置し、広く利用してもらうことで、要介護化リスクが高い高齢者を効率よく大規模に把握できるようになることが期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学体育系
大藏 倫博 教授

掲載論文

【題名】
Segmental phase angle and the extracellular to intracellular water ratio are associated with functional disability in community-dwelling older adults: A follow-up study of up to 12 years
(部位別のphase angleと細胞外内の水分比率は、地域在住高齢者の要介護化と関連する:最長12年間の追跡調査)
【掲載誌】
Nutrition
【DOI】
10.1016/j.nut.2025.112709

関連リンク

体育系