涙腺慢性移植片対宿主病におけるドナー由来線維芽細胞の病態形成にかかわる役割
【研究分野】眼科学
【研究キーワード】
眼病理学 / ドライアイ / 移植片対宿主病 / 造血幹細胞移植 / 免疫学 / 線維芽細胞 / 線維化 / 間葉系幹細胞 / 幹細胞 / 慢性移植片対宿主病 / 涙腺 / マーカー / 骨髄
【研究成果の概要】
本研究では、マウスGVHDモデルを用いてドナー由来線維芽細胞の慢性GVHDの病態形成における役割を直接的に証明し、病態を解明することを目的とし本研究期間中に次の成果を得た。
マウスGVHDの涙腺、結膜、唾液腺、肺、皮膚、小腸、肝臓等慢性GVHDの病的線維化の経時的形成過程の作成に成功した。マウス線維芽細胞のマーカーとしてコラーゲン特異的分子シャペロンであるHSP47が適切であることを見いだした。これによりマウスドナー由来線維芽細胞の検出のためにHSP47とFISH法の組み合わせによりGVHDマウスの涙腺、結膜慢性GVHDにおける病的線維化部位においてドナー由来の線維芽細胞の検出に成功した。
さらに、GVHD線維化組織とコントロール組織から培養細胞にて涙腺および結膜の線維芽細胞株を樹立することに成功した。この培養線維芽細胞はGVHDとコントロールに形態および増殖能に差が認められており、GVHD涙腺結膜の線維芽細胞は増殖能が高く形態は小型でより扁平であった。今後この線維芽細胞株はGVHD線維化にかかわる線維芽細胞の病的な役割を検討し、治療効果の検討が解析可能となる点で重要である。
ドナー由来線維芽細胞の由来を検討するために間葉系幹細胞、造血幹細胞等の細胞源の同定のため、各種移植細胞源の除去移植を行った。造血幹細胞除去移植ではLineage陰性、Sca-1陽性、c-kit陽性細胞を選択的に除去移植し移植し線維化抑制は明瞭ではなかった。間葉系幹細胞除去移植では、全骨髄細胞から間葉系細胞に特異的マーカーを用いて選択的に除去して移植し各臓器の線維化抑制が認められた。線維化にかかわるドナー由来維芽細胞は間葉系幹細胞も候補のひとつとして考えられた。本研究は、慢性GVHDの研究および診断,線維化抑制のための新規治療開発に道を開く司能性がある点で意義があり、今後の臨床応用の可能性を秘めており造血幹細胞移植の成功率の上昇に貢献する可能性があり重要性があると考える。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
桑名 正隆 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
河上 裕 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】4,010千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 510千円)