描画能力の生物学的基盤:ヒト・チンパンジー・ゴリラ・サル・トリの比較研究
【研究キーワード】
描画 / 霊長類 / ヒト / チンパンジー / サル / fMRI / 小児 / 脳損傷 / 模写 / なぞり描き
【研究成果の概要】
ヒトを対象とした描画課題中の眼球運動計測実験の予備実験およびデータ解析を行った。
日本語成人話者、およびタイ語話者の子供と成人を対象に描画の階層を評価するための書き順・描画におけるクラスタ分析をすすめ、中間報告としての学会・論文発表を行った。脳損傷患者の描画における階層構造を探索するため、神経心理学検査のRey-Osterrieth複雑図形など描画課題を脳腫瘍患者に実施し、描画の特徴と認知機能の関連を分析した。
チンパンジーに関しては、国際共同研究として、AIのディープラーニングを用いて野生チンパンジーのビデオを自動で解析し、ナッツ割りという道具使用および板根を叩くディスプレイ(誇示行動)という2種類の行動パターンを、音声と画像の組み合わせから自動検出する論文を公表した。その他、和文で霊長類の進化や発達についての総説を執筆した。また、わらべうたに関する書籍において、進化心理学の観点からの考察をおこなった。ヒトを含む霊長類に関する国際学術誌Primatesに、言語進化にかんする特集企画の論文を投稿し、査読・改稿中である。ヒトの子どもとチンパンジーをはじめとした大型類人猿における物の操作行動の発達と、物と物とを組み合わせる定位操作からみた認知発達の種間比較と、野生での道具使用について考察する内容となっている。ニホンザル4頭に対して線分分割記憶再現課題を実施し,線分分割をする際の記憶や運動操作の特徴について分析した。ハトが線分の中点を認識できるか検討した。画面のランダムな位置に,水平から20度以内のランダムな傾きで出現した線分に1回反応すると,ハトは餌報酬を得ることができた。線分以外の箇所への反応が減少した時点で,より線分の中央に反応しなければ報酬を得られないようにした。ハトが報酬を得るまでのつつき回数は低下したことから,より中央に反応することを学習したことがわかった。
【研究代表者】