住民組織のネットワーク力を測定するための尺度開発
【研究分野】地域・老年看護学
【研究キーワード】
住民組織 / ネットワーク / 満足感 / 負担感 / 尺度開発 / 健康推進員
【研究成果の概要】
本研究では、地域住民の健康増進活動や健康課題解決に取り組む住民組織活動の一つであり、行政育成型住民組織活動である健康推進員(以下、推進員)活動に注目した。組織のネットワーク力を考えるに際し、まず組織の構成員の活動に対する意欲やモチベーションを高める必要があり、これが高まれば、組織のマネジメント力、問題解決能力、構成員同士の信頼関係の構築能力等、すなわちネットワーク力が高まるのではないかと考え、前年度は活動満足感尺度と活動負担感尺度を開発した。本年度は、尺度の利用可能性を高めるため、経験年数別でのこれらへの関連要因を探索した。
S県A市、B市の健康推進員604名を対象に、郵送法による無記名自記式の質問紙調査を行った。調査項目は、活動満足感尺度9項目、活動負担感尺度14項目の他に、活動へのソーシャルサポートとして、「家族」、「推進員仲間(以下、仲間)」、「行政支援者(以下、行政)」、「地域住民」からのサポート項目を作成し、尋ねた。対象者には、調査の趣旨、調査への協力は任意であり、匿名性を保持することなどを記した調査依頼書を調査票に添付し、調査票の返送をもって調査への同意とみなした。
経験年数別に関連要因を検討した結果、活動満足感においては、1〜3年群では行政、地域住民からのサポート、4〜8年群では地域住民からのサポート、9年以上群では家族、推進員仲間、行政からのサポート、が高いほど「活動満足」が高かった。また、どの群でも推進員仲間からのサポート、4〜8年群、9年以上群で行政からのサポート、が高いほど「自己利益」が高かった。また、活動負担感においては、1〜3年群、4〜8年群で推進員仲間からのサポートが高いほど「日常生活負担」が低く、1〜3年群で推進員仲間、地域住民からのサポートが高いほど「精神的負担」が低かった。さらに、4〜8年群で推進員仲間からのサポートが高いほど「活動量負担」が低かった。
以上より、活動満足感を高め、活動負担感を軽減するような介入の手がかりが示され、今後、開発した尺度の利用可能性が広がったと考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)