老人保健施設における高齢者の日常生活援助に「積極的歩行訓練」を導入することの効果
【研究分野】地域・老年看護学
【研究キーワード】
積極的歩行訓練 / 高齢者 / 認知症 / 健康維持 / 老人保健施設 / スタッフ / 日常生活援助
【研究成果の概要】
【概要】老人保健施設における「積極的歩行訓練」をスタッフの日常生活援助に効果的に導入することにより、虚弱高齢者が心身の健康状態を維持・向上することを目的とし、昨年度に引き続き2年目は、高齢者(認知症を含む)の歩行訓練を継続し、マニュアル作成の内容について検討した。
【方法】1.研究期間:平成17年4月〜平成18年3月。2.対象者:高齢者14名のうち、健康状態に伴う訓練の中止や退所者が出たため、最終対象者人数9名(女性7名、男性2名、平均年齢83歳、平均要介護度4、認知症老人の生活自立度は、正常1名、IIa1名、IIb3名、III3名、IV1名)。高齢者ケアに熟練したリーダー的存在の介護職員4名。3.研究方法:高齢者個々の日常生活行動の中に個々の健康状態に合わせたスタッフによる歩行訓練を実施した。歩数計を装着し、1日の歩数を観察した他、月に1度、下肢伸展筋力、脚点、5m歩行速度・歩数、握力、体重、推定骨量、内臓脂肪、FIMを測定し、高齢者による主観的満足度、介護職員による高齢者の歩行状態に関する評価について調査した。
【結果】全体的には、立位バランスが向上し、立位安定・尿失禁減少・抑制への減少につながった。軽度の認知症がある高齢者の転倒のリスクが低くなる一方、認知症が重度化すると下肢筋力が向上しても危険を認識する能力が低いために転倒のリスクの減少は見られなかった。日々の歩行訓練は、居室に閉じこもりがちな高齢者の生活への意欲向上につながった。9名中、歩行距離とADLに向上が見られたケース、歩行距離が伸びたがADLに変化が見られなかったケース、歩行への意欲が強いが、歩行で生じる疲労を表現できず健康に支障を来たしたため、歩行距離を伸ばさず、ADL向上を目指したケースの3つのパターンに分けられた。マニュアル作成について職員と検討した結果、定期的な測定・評価を実施することが個々に合った適切な援助を実施する上で重要であることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
太田 喜久子 | 慶應義塾大学 | 看護医療学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,100千円 (直接経費: 3,100千円)