不動産市場とマクロ経済:大規模ミクロデータを用いた解明
【研究キーワード】
不動産バブル / 少子・高齢化 / 国際資金フロー / 生産性 / 価格指数 / 国際資本移動 / 人口減少 / 高齢化 / 環境配慮型社会 / 空き家 / 持続可能性 / 不動産価格 / 土地利用規制 / 空間計量 / 人口減少・高齢化 / 空き家・所有者不明土地 / 国際パネルデータ分析 / ヘドニックアプローチ / 空間計量経済分析 / 都市集積 / 不動産ビックデータ / 国際資金循環 / 不動産価格指数
【研究成果の概要】
2020年度において整備された不動産価格データ、取引データ、国際的な不動産市場の資金フローが理解可能なマイクロデータと半世紀にわたる長期パネルデータを用いて、大きく3つの課題に対して研究を実施した。米国に本社を置くRCA社から30か国に及ぶ国の主要都市の取引価格データを用いて、国際的な資金移動が世界の主要都市の不動産価格に与える影響と、国籍が異なることを通じてローカルな市場の中で起こる価格形成への歪みを明らかにした。ここでは、欧米諸国の主要都市だけでなく、アジア、パシフィック、アフリカを含む主要都市の不動産取引を、売り手と買い手の国籍、国間の距離に注目して、理論・計量モデルを構築した。加えて、主要25か国の人口動態の変化と不動産価格の変動に関しての長期関係を明らかにするための計量モデルを開発した。日本国内を対象とした研究では、土地利用の地域小単位での変化を通じて、資源配分に与えた影響を明らかにするために、不動産の土地取引量を、日本全体を38万メッシュに分割し、測定することを行った。このようなマクロ的な構造を理解した上で、都市内部で発生しているミクロな問題とその背後にあるメカニズムを解明するために、特定地域を対象とした実証研究を進めた。第一に、人口減少下で進む空き家の発生と正確に把握するための手法を開発するとともに、空き家が増加することで都市に与える外部不経済の測定を行った。第二に、都市集積が大きい街の特性として指摘されるようになった「歩行可能性」という特徴に注目し、街の特性と歩行可能性の関係性を実証的に明らかにした。また、世界全体で進む環境配慮型社会への取り組みにおいて不動産市場でもすすめられている、グリーン認証が不動産市場に対して与える影響を国際比較研究として、ケンブリッジ大学と共同ワークショップを開催することで広く議論を行うとともに、研究成果としての取りまとめを行った。
【研究代表者】