生理学的特徴を抽出する深層学習モデルの構築と脳波による意思抽出への応用
【研究キーワード】
脳波 / ブレイン・コンピュータ・インタフェース / ALS / 深層学習
【研究成果の概要】
脳活動のみからコンピュータや外部装置の制御を行うブレイン・コンピュータ・インタフェース (BCI) は、運動機能が低下する筋萎縮性側索硬化症 (ALS) などの患者にとって、非常に重要なコミュニケーション手段である。本研究は、脳波から細分化された脳領域別に分離した信号(信号源電流)を推定し、それらの中から意思に関する情報として生理学的に妥当な信号を深層学習により抽出する手法の確立により、脳波から意思を抽出するBCIの実用可能性を高めることを目的としている。また、確立した頑強性の高いBCIシステムは、ALS患者とのコミュニケーションへ適用し、有効性の検証を行う。
本年度は、事前に電気による感覚刺激と想起した意思の条件づけを行った対象者が「はい」または「いいえ」を想起するBCI実験のデータを使用し、「はい」と「いいえ」のどちらを想起しているかを脳波の信号源電流から深層学習により識別するBCIシステムを構築した。ほぼ全身の筋肉が動かせない閉じ込め症候群のALS患者の計測済みの実験データを用いてBCIシステムの評価を行った結果、チャンスレベルより統計的に有意に高い識別率が得られた。また、識別に有効な脳領域を識別器から特定することができた。今後は、ALS患者で特定された脳領域について、健常者のBCIシステムで特定された脳領域や、空間分解能の高い機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) で得られた結果との比較を行う。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2021-08-30 - 2023-03-31
【配分額】3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)