脳梗塞後の組織炎症におけるアストロサイトの神経保護作用の可視化解析
【研究キーワード】
脳梗塞 / アストロサイト / 視覚野 / 神経細胞 / イメージング
【研究成果の概要】
脳梗塞は、神経細胞を中心とした、脳内の様々な細胞が関わる複雑な病態である。これまで、神経細胞死を中心として研究が進められてきたが、近年、アストロサイトなどの各種のグリア細胞や、脳血管を構成する細胞種なども、その病態に大きく関与することが指摘されている。本研究ではこれまでに、脳梗塞後の病態におけるアストロサイトの神経保護作用に注目して、さまざまな解析方法の確立に取り組んだ。梗塞後の梗塞巣拡大を忠実に再現するための脳梗塞のマウスモデルの確立や、アストロサイトや神経細胞などの活動を長期にわたり可視化するカルシウムイメージング法の実現に加え、アストロサイトや神経細胞において、非常に強力な細胞外シグナルを伝達するATPのin vivoでの可視化法の開発にも取り組んだ。In vivoにおけるATPのイメージングについては、脳梗塞後の異常神経活動を模したCortical Spreading Depressionにおける細胞外ATP動態の可視化を実現し、論文として発表している。
当該年度では、アストロサイトや神経細胞の活動をより詳細に評価するため、視覚野および高次視覚野における活動をとらえることを目的とし、新しいカルシウムイメージング顕微鏡法の開発に取り組んだ。これにより、これまでの顕微鏡ではとらえることができなかった広範囲の細胞活動を、1細胞レベルの高い解像度にて捉えることを実現した。これらのイメージング技術を用いて、脳梗塞後の炎症過程において、アストロサイトと神経細胞の相互採用を解明し、脳梗塞の病態解明につなげたい。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)