生体機能のコントロールを目指した金属イオン誘起型人工核酸の合成と機能化
【研究分野】医薬分子機能学
【研究キーワード】
人工DNA / DNA / 金属錯体 / ヌクレオシド / 核酸合成 / 生体機能 / 金属イオン / 核酸 / 自己集合 / 遺伝子発現制御
【研究成果の概要】
金属配位子を核酸塩基に人工的に導入することにより、DNAの高次構造を任意にデザインすることが可能であると考えられる。本研究では、天然の核酸塩基の代わりに金属配位型塩基を導入し、水素結合の代わりに金属錯生成を通して二重らせん構造を形成することが期待される人工DNAを合成することを目的とする。中心金属イオンの酸化還元等に伴うDNA全体の大きな構造変化を通して、転写等の生体機能を人為的にコントロールできると期待された。平成11年度は錯体型人工ヌクレオシドの設計、合成と、合成DNAの基本的な構造、物性評価に重点を置いた。まず、金属イオンと四配位型2:1錯体あるいは六配位型3:1錯体を形成することが可能なo-phenylenediamine,catechol,o-aminophenolを導入した3種の人工β-C-ヌクレオシドを合成した。o-phenylenediamine部分を有するヌクレオシドは、リチオ化物のリボノラクトンへの付加を鍵反応とする、RNA型リボヌクレオシド経由のルートにより合成した。また、catecholやo-aminophenolを有するヌクレオシドについては、ルイス酸を用いるFriedel-Crafts型反応を経由し、直接デオキシリボヌクレオシド体へ導いた。これらの研究成果を2報の学術論文に発表した。これらと各種金属イオンとの溶液内錯生成の検討を行った結果、例えば、パラジウムイオンと2:1平面4配位型錯体を形成することがわかった。また、catechol型を組み込んだ人工DNAオリゴマーをフォスフォロアミダイト法により作成し、現在、金属イオンとの錯形成による二重らせん構造についての評価を行なっている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
田中 健太郎 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1998 - 1999
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)