PAR化修飾によるクロマチン高次構造制御・遺伝子転写調節機構の包括的解析
【研究分野】ゲノム生物学
【研究キーワード】
PAR化 / 次世代シーケンサー / 1細胞解析 / ChIA-drop / ChIA-PET / Hi-C / クロマチン高次構造 / 転写調節 / ゲノム
【研究成果の概要】
細胞核内で起きるタンパク質のポリADPリボシル化(PAR化)修飾はその電気的性質から周囲のクロマチン環境を大きく変化させ、遺伝子の転写制御や修復に関わることが知られている。本研究ではこの修飾によるクロマチン高次構造の変化を観測するための新たな研究手法の開発を行った。クロマチン複合体を微小液滴に封入しラベリングを行うことからChIA-dropと名付けたこの手法は、Hi-CやChIA-PETといった既存のクロマチン高次構造の解析手法が2点間のDNAの相互作用情報を大量に取得し蓄積することで高次構造を再構成するのに対し、多点間での相互作用を、1分子の解像度で検出できるようにした初めての方法である。
【研究の社会的意義】
本研究で開発したChIA-drop法を用いることで、PAR化修飾によるクロマチン高次構造制御機構の理解がさらに深まることが期待できる。またこのChIA-drop法はPAR化のみを標的とした解析手法にとどまらず、インプットとして用いるサンプルを変えることで、様々な標的タンパク質を介したクロマチン高次構造の解析に用いることが可能である。ChIA-drop法の多点間のクロマチン相互作用を1分子の解像度で解析できるという特徴は、既存の方法では実現できなかった利点であり、この手法を用いることで広くクロマチン高次構造の研究が進展すると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)