アポトーシス抑制分子EATの生体内機能ならびに疾病における分子機構の解明
【研究分野】実験病理学
【研究キーワード】
アポトーシス / 発生 / EAT遺伝子 / ES細胞 / コンディショナル・ターゲッティング / bcl-2ファミリー / 遺伝子改変マウス / EAT / bcl / mcl-1 / mcl1 / トランスジェニック・マウス / ミトコンドリア / 細胞死
【研究成果の概要】
EAT/mcl1遺伝子は、ヒト胎児性癌細胞(EC細胞)の分化初期に発現が上昇する遺伝子として単離され、bcl-2関連遺伝子に属する。培養細胞において抗癌剤によって誘導されるアポトーシスを抑制すること、本遺伝子を過剰発現するトランスジェニック・マウス(Tg)では、膵ラ氏島の過形成が生じることが知られている。本研究では、EAT/mcl1の発生段階および個体レベルでの機能を更に詳細にするために、胚性幹細胞(ES細胞)においてEAT/mcl1を欠損させ、アポトーシス、細胞増殖、分化に対する機能解析を行なうこと、ノックアウトマウス作製により個体レベルでの機能解析を行った。
Cre-loxPシステムを用いてEAT/mcl1遺伝子をマウス個体、ES細胞においてコンディショナルにノックアウトするために、EAT/mcl1のexon 1をloxPで挟むような変異を導入するターゲッティング・ベクターを導入することによりES細胞(TT2細胞)の一方の対立遺伝子に変異を導入することに成功した。11個のES細胞のクローンが得られ、5個のES細胞をマウス初期胚(胚盤胞)へ注入することによりキメラマウスを得た。それらより3ラインのマウスのラインを確立した。これらのマウスをCre recombinaseを発現するトランスジェニック・マウスと交配することにより以下のマウスを得た。1)EAT/mcl1のexon 1が破壊されたマウス(EAT/mcl1遺伝子1個のみ破壊されたヘテロ接合性のノックアウトマウスであり、表現形は、現在のところ、形態学的には野生形と同様と考えられる。このことはEAT/mcl1の発現量が通常の1/2となってもマウスは、正常に発生.分化することを示唆している)。2)EAT/mcl1のexon 1の両端にloxP配列が挿入されたマウス(このマウスは、両アレルとも正常なEAT/mcl1を有するが、臓器特異的Creトランスジェニック・マウスの交配により、コンディショナル・ノックアウトを作成することが可能である)。また、MEOXマウス(胎生5日目以降に、胚盤葉上層(将来、胎仔となる領域)特異的にCre recombinaseを発現するマウス)の導入を終了した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
秦 順一 | 国立成育医療センター(研究所) | 所長 | (Kakenデータベース) |
大喜多 肇 | 国立成育医療センター(研究所) | 発生・分化研究部 | 室長 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2004
【配分額】14,100千円 (直接経費: 14,100千円)