微小管損傷で活性化されるBcl-2リン酸化酵素の同定と機能解析
【研究分野】機能生物化学
【研究キーワード】
apoptosis / ERKs / phoslactomycin / PP2A / Bcl-2 / Erk / Bc1-2 / ミトコンドリア / リン酸化 / 細胞周期 / ERK2
【研究成果の概要】
Bcl-2のリン酸化の意義を解析するために、Bcl-2低発現細胞であるHepG2細胞に野生型Bcl-2および種々の変異型Bcl-2を発現させ、その機能解析を行った。様々な変異型Bcl-2を細胞に発現させた結果,通常ミトコンドリアに局在するBcl-2から膜貫通領域を欠損させ、局在を変化させた変異型Bcl-2(以後、Bcl-2ΔTMと略)においてBcl-2ΔTMタンパク質が恒常的にリン酸化されていることを見出した。細胞内におけるBcl-2ΔTMのリン酸化部位の同定を試みたところ,87番目のセリンが恒常的にリン酸化されていることが確かめられた。また、種々のリン酸化酵素阻害剤を用いてBcl-2ΔTMリン酸化酵素の同定を試みた結果,MEK1阻害剤のPD98059とU0126がBcl-2ΔTMのリン酸化を抑制することを見出した。さらに、in vitroのリン酸化反応実験によりMEK1の下流の因子であるERKがBcl-2ΔTMの87番目のセリンをリン酸化することが確かめられた。このリン酸化部位は、細胞内におけるリン酸化部位と一致していた。一方で、野生型Bcl-2とBcl-2ΔTMの双方がERKと結合できるが、野生型Bcl-2はミトコンドリアでPP2Aと複合体を形成していることから恒常的なリン酸化が観察されないことが分かり、Bcl-2ΔTMはPP2Aと結合できないことから恒常的にリン酸化されている事が分かった。さらに、正常ヒト血液由来Bcl-2は恒常的にリン酸化されており、培養がん細胞でのそれは脱リン酸化体であることが確かめられた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)