顎顔面口腔組織発生過程におけるプログラム細胞死と形態形成機構の解析
【研究分野】形態系基礎歯科学
【研究キーワード】
ASKl / アポトーシス / MAPキナーゼ / Traf / Daxx / ASK1 / 口腔組織 / 発生
【研究成果の概要】
本研究はASK1(Apoptosis Signal-regulating Kinase 1)のアポトーシスシグナル伝達機構の解析を通して、顎顔面口腔発生過程でのプログラム細胞死と形態形成機構の総合的理解を得ることを目的としており、本年度は特にASK1結合蛋白質によるASK1活性化機構の解析を進めた。
(1) ASK1抑制性制御分子としてのチオレドキシンの同定 : ASK1活性化の分子機構を明らかにする目的で、酵母two-hybridシステムを用いASK1結合タンパク質の解析を行ったところ、酸化還元(レドックス)タンパク質、チオレドキシン(Trx)がASK1のN末端に直接結合することを見いだし、チオレドキシンがASK1の特異的抑制因子として活性酸素種によるASK1活性化を介したアポトーシスにおける負の制御機構に寄与していることを明らかにした。
(2) ASK1活性化制御分子としてのTRAF2の同定 : TNFのシグナル伝達分子であるTRAF2の直接的なエフェクター分子としてのASK1の可能性について検討を行なったところ、TRAF2はASK1に結合するとともにASK1を活性化し、TNFシグナル伝達におけるJNK pathwayにおいてTRAF2-ASK1経路がたいへん重要な位置を占めることが明らかにされた。
(3) ASK1活性化制御分子としてのDaxxの同定 : Fasからのシグナル伝達分子DaxxとASK1の関連性について検討したところ、DaxxはASK1に結合するとともにASK1を活性化し、Fasシグナル伝達におけるJNK pathwayにおいてDaxx-ASK1経路が生理的役割を持つことが明らかにされた。
以上のように本年度はASK1活性制御分子メカニズムとしてひとつの抑制因子とふたつの活性化因子の同定に成功した。今後はこれらの分子機構を介したシグナル伝達が顎顔面口腔発生過程でのプログラム細胞死にどのように関わっているかを生体内で明らかにする必要がある。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
斉藤 正夫 | 東京医科歯科大学 | 歯学部・日本学術振興会 | 特別研究員 |
武田 弘資 | 生化学部 | 嘱託研究員 |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】11,000千円 (直接経費: 11,000千円)