遺体の身元確認作業による心的外傷後ストレス障害を予防するためのストレス度測定
【研究分野】医用システム
【研究キーワード】
災害医療 / 検死・検案 / PTSD / メンタルケア / 音声 / ストレス / メンタルヘルスケア
【研究成果の概要】
本研究では、歯科医師などを対象にした歯科身元確認研修会において、参加者が実習で遺体に接した際のストレス程度を音声を用いて計測した。遺体実習前後のメンタル状態の変化を我々が開発した音声評価指標により分析した結果、実現場での身元確認の経験と遺体実習前の事前実習の種類によりメンタル状態の変化が異なることが示唆された。実経験がない参加者において、ストレスを感じる程度は実遺体・写真・マネキンの順に高いと考えられた。さらに、マネキン実習が初めて遺体に接することに対するストレスへの耐性を向上させる可能性も示唆され、ストレス暴露に対するマネキン実習の有効性が確認できた。
【研究の社会的意義】
音声によるストレス評価は、唾液や血液などを用いる手法に比べて、ほとんど非侵襲でかつ手軽に行える。また、自記式アンケートで問題となるレポーティングバイアスも排除できる可能性がある。音声によるストレス評価は簡便で、実習中の限られた時間でも実施が可能だったことは、本技術を実際の災害対応の現場で活用する上で意義がある。過度のストレスに晒される実現場において、業務従事者の心の健康状態を手軽に評価できることは、その後の心的外傷後ストレス障害や併発するうつ病・不安障害などの発症を予見できることに繋がるため重要である。
【研究代表者】