不平等と不安定性の国際比較 日英格差社会をグローバルな視点から読み直す
【研究キーワード】
労働経済 / 格差社会 / 社会経済史 / 国際共同研究 / 社会階級論 / 労働史 / 社会学 / 消費文化 / 労働経済学
【研究成果の概要】
令和3年度に、本研究は格差社会の国際比較を目指したオンライン学術交流を活発に実施した。社会科学諸分野で主導的立場にある研究分担者によって、不平等と不安定性との連環に関する研究が深められ、多くの研究成果物の刊行へと繋がった。令和3年度へと延期された国際会議は、オンラインでの開催となったが、日英比較共同研究の場の形成へと着実に繋がっている。具体的には、まず令和3年9月にロンドン大学経済政治学院(LSE)マイク・サヴェジ(研究協力者)を中心に4名の著名研究者による、公開パネルディスカッション「格差社会:日本と英国」がハイブリッド開催され、大学内の学生視聴者およびオンラインの一般視聴者との対話形式で双方向型ディセミネーションがなされた。続いて、国際シンポジウム“Class, Culture, Connection” がオンライン開催され、社会科学諸分野から招待された6名の報告者と3名のコメンテーターにより、日本の格差社会の現状報告と日英比較検討がなされた。10月には公開講演会「文化と階級:EPトムソン再考」が三大陸同時中継で開催され、日米英の著名研究者による自伝的な研究省察から新たな研究視座が提示された。12月には、英国ニューカッスル大学生たちを学生シンポジウムに招き、大学内で実施した文化慣行調査の分析結果を両国の学生同士で共有した。令和4年1月には、東北大学主催の「社会的不平等に関する国際講演シリーズ」での講演依頼を受け、本研究の一連の取り組みを紹介した。3月には、日英比較をさらにグローバルな視点から見直す作業の一環として、アフリカ、インド、ラテンアメリカの研究者を招いて、オンライン研究会 “Rethinking Class and Inequality in the Global South” が開催され、階級と不平等の研究を交差的に概念化するための、活発な議論形成がなされた。
【研究代表者】