胃癌およびその転移巣における骨髄幹細胞の取り込みの解析
【研究分野】実験病理学
【研究キーワード】
胃癌 / 幹細胞 / 発癌 / 骨髄 / クローン性 / 骨髄細胞 / 食道癌 / 化生 / 骨髄幹細胞 / 胃癌転移 / 胃発がん / ヘリコバクター / 骨髄移植 / 胃粘膜細胞分化 / 胃発癌
【研究成果の概要】
癌幹細胞が骨髄由来であるか否かをマウス化学発癌モデルを使用し、検討した。BALB/c雄性マウス17匹に放射線9Gyを照射したのちに、GFPマウスの骨髄細胞を移植した。骨髄移植のダメージから回復する2週間後からMNU240ppmを飲水中に含有させ、隔週5週間、9週にわたって投与した。17匹のうち、4匹はコントロールとし、13匹にMNUを投与した。その後、MNU投与から40週にて犠死せしめ、できた腫瘍中に骨髄由来細胞がとりこまれているか否かを検討した。40週の段階で生存しているMNU投与群は6匹のみであった。このうち4匹の前胃に偏平上皮癌が形成されていた。この腫瘍細胞はほとんどがGFP陰性であり、癌の由来は骨髄ではなく、もとからの組織であると考えられた。しかし、腫瘍のほんの一部にGFP陽性の細胞群からなるところがあり、骨髄由来細胞を幹細胞とする、または腫瘍形成後に骨髄由来細胞が取り込まれ、腫瘍形成の一部を成す可能性も考えられた。リンパ節に癌の転移を認めたが、これらはGFP陰性であり、転移巣内には新たな骨髄由来細胞の取り込みはなかった。転移巣はGFP陰性の原発巣からの転移と考えられた。
今回の結果からは、癌のすべてが骨髄由来であるという可能性は否定的であることがわかった。しかし、一部が骨髄由来である可能性は未だ否定できない。これはさらに詳しい検討が必要である。さらに、がんがモノクローナルな集団ではない可能性が示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,950千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 450千円)