使用する手の選択に関する神経基盤の解明:前頭・頭頂葉ネットワークに着目して
【研究キーワード】
行動選択 / 意思決定 / 上肢選択 / 非侵襲的脳刺激法 / 非侵襲的脳画像法 / リハビリテーション / 行動選択意思決定 / 神経活動変調 / 脳の機能的結合 / ニューロイメージング
【研究成果の概要】
本研究では,ある目標物に対して手を到達させるときに,左右どちらの手を選択して使うかという手の選択に関する脳内ネットワークを解明することである。脳波解析および非侵襲的脳刺激法の1つである経頭蓋交流電気刺激法を用いて,行動選択に関係があるとされる後頭頂葉と運動前野の機能的結合と手の選択との関係性について検討を進めている。2021年度は,健常者を対象に脳波計を用いて,手の選択課題中の脳波を計測した。データは概ね取得し終わり,手の選択に関する脳の機能的結合を検討するためにデータを解析中である。また,経頭蓋交流電気刺激法を用いて,運動前野および後頭頂葉の機能的結合を促進または抑制し,手の選択に及ぼす影響を検討している。経頭蓋交流電気刺激法は,頭皮上から交流電気刺激を複数の脳領域に同時に刺激することで,刺激直下の脳領域間の機能的結合を促進または抑制できる方法である。現在,6名のデータを取得し終わった。2021年度は,新型コロナ感染症の影響で,実験参加者のリクルートが難しく計測に時間を要したが,脳波を用いた研究では,予定していたデータ数を取得し終えることができた。今後の予定は,脳波データの解析から機能的結合を抽出し,手の選択との関係性を検討する。さらに,後頭頂葉と運動前野への経頭蓋交流電気刺激が手の選択に及ぼす影響を検討するために計測を継続する。これらの結果を国際雑誌に投稿する。本研究によって,手の選択に関する脳内ネットワークが明らかとなり,さらに,非侵襲的な脳刺激法を使い手の選択率を変化させることができれば,脳卒中患者の麻痺手の使用を促すリハビリテーションに応用できる可能性がある。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2021-08-30 - 2023-03-31
【配分額】2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)