生体における狭窄する血管の中の流れ
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
自励振動 / 2次元流路模型 / 大動脈 / 冠動脈 / つぶれやすい管 / スロッシュ現象 / 3次元数値解析 / 1次元剥離流れ理論 / つぶれ易い管
【研究成果の概要】
当該研究は心臓・動脈血管系と靜脈血管系に分けられる。前者については、1)梶谷は犬の動脈下行枝に狭窄を作成し、冠動脈中隔枝における血流は心筋収縮時に心筋内から冠動脈側への逆流が増加することを確認した。また冠動脈狭窄時における血管径と血流をパルスドップラ超音波血流計などを用いて計測し、血流のスロッシュに与える影響を調べ、2)また、山口(隆平)が腹部大動脈から腎動脈への非対称分岐に着目し、対称分岐の場合と異なり、流れ方向へのせん断応力の変化が激しいことなどを初年度に確立した電気化学的手法により実験的に示し、3)さらに、谷下が大動脈弓部に注目し、LDVによる血流分布測定及び培養内皮細胞の酵素などの透過性を調べ、また解析手法も用い、マクロとミクロな観点からの動脈硬化症への検討を進め、4)山口(隆美)は鋳型標本より測定した数値シミュレーション用の左心室モデルに対し、各種の生理学的状態における心室内の血流とその力学的影響について数値的に検討を行った。5)清水は血圧測定に関連して、ヒト上腕のカフ下動脈での現象の計測と理論的解析を行い、聴診法の原理は脈波の非線形伝播により生ずる脈波圧の上昇脚の急峻化現象によることを明らかにした。靜脈血管系に対しては、1)大場が血管モデル内の流れの自励振動および管内の脈波の伝播に関する実験と理論について、張力の影響を系統的に調べ、2)山根も血管モデルを用い、流れやチューブよるヒステリシス特性の自励振動に与える影響を調べ、3)また、林は流れの剥離を直接考慮していない二次元分布定数非定常モデルに基づいた数値解析を行い、チューブの自励振動現象に対して実験データと定性的に一致することを明らかにし、4)さらに、松崎は流れの剥離を考慮した2次元弾性膜流路の1次元非定常モデルに対して高次振動理論を提案し、また、流体理論の検証のため2次元流路での圧力分布の計測などを行った。
【研究代表者】
【研究種目】総合研究(A)
【研究期間】1992 - 1993
【配分額】6,000千円 (直接経費: 6,000千円)