公共スポーツ施設の民営化にともなう雇用創出効果
【研究分野】スポーツ科学
【研究キーワード】
PFI / NPM / 指定管理者制度 / 民営化 / 公共スポーツ施設 / GIS / WEBアンケート調査 / Webアンケート調査
【研究成果の概要】
<成果1>全国の公共スポーツ施設のアンケート調査実施と、データベース化
財団法人日本体育施設協会と共同で、同協会に加盟する15,068施設(16年度現在)全てを対象としたアンケート調査を、17年度に実施した。施設属性(種別、規模、建築年数、設置者等)の他、施設雇用(人数、人件費等)、関連雇用(委託費等)、事業収支(利用料収入、事業収入、補助金・委託費収入、高熱水費、人件費、委託費等)など、多岐にわたる質問項目を設け、3,391施設(回収率22.5%)から回答を得ることができた。そのうち、分析に耐えられるだけの回答が得られた施設は2,974施設(回収率19.7%)であった。満足のいく回収率とは言えないが、公共スポーツ施設の詳細な経営データを蓄積した全国的なデータベースは他には皆無であり、非常に貴重なものといえる。さらに、商用データベース(GIS)を活用し、回答が得られた施設について、立地環境、周辺人口と世帯所得、競合施設、交通利便性等を施設ごとに分析。各々の施設が民営化を実施する上で大いに有用となる、経営指標や地域特性に関するデータを追加することもできた。
<成果2>公共スポーツ施設民営化論の整理
15年度と17年度に、ロンドン市内の公共スポーツ施設の民営化事例について、運営担当者、地方自治体担当者にインタビュー調査を実施。また、公共スポーツ施設民営化の研究者にもインタビューを行い、民営化の課題ならびに評価についての知見を得ることができた。その他、インタビュー調査により必ずしも英国がスポーツ分野でのPFIがわが国以上に進んでいるとは言えないことがわかった。その背景として英国の公共スポーツ施設整備がLottery(国営宝くじ)からの潤沢な予算に支えられていることが挙げられる。また、広い意味での民営化としてTrust(非営利組織)への委託が進んでおり、英国では民営化=営利法人との契約ではなく、非営利組織を含め施段経営の最適化を図っていることもわかった。
なお、本研究により得られた新たな知見をもとに、当初4ヵ年で実施する予定だった本研究を前倒しで終了とし、新たな課題番号「18300213」に引継ぎさらに継続していくこととなった。
【研究代表者】