腱板断裂に伴う筋脂肪浸潤メカニズムの解明と抑制法の開発
【研究キーワード】
筋変性 / 腱板断裂 / 腱板構成筋 / 脂肪浸潤 / 線維化 / 加齢 / 肩腱板断裂 / 筋内脂肪浸潤 / 筋変性予防
【研究成果の概要】
脂肪浸潤や筋萎縮を伴う筋変性は加齢や外傷などによって生じうるが、その機序に関しては未だ不明な点が多い。肩腱板は人体の中で最も高率に腱の断裂が生じる部位であり、慢性的な腱板断裂に筋変性を合併することが知られている。筋内に存在する幹細胞の1つであるFAPs細胞が起源とされる腱板構成筋の筋脂肪浸潤は、腱板断裂後の不可逆的な変化とされており、その予防および抑制が臨床的に重要な課題となる。
我々は脂肪浸潤を誘導したマウスモデルを用い、腱板断裂後の筋変性における本細胞集団の関与を証明し、PDGFR阻害薬であるイマチニブの投与で筋変性が有意に抑制されることを明らかにしてきた。しかし過去の筋脂肪浸潤モデルの報告と同様、本モデルにおいても腱板切除のみでは脂肪浸潤が効率的に誘導されず肩甲上神経の脱神経の併用が必要であったこと、筋変性の評価として脂肪浸潤のみを評価しており、線維化などによる筋組織の可塑性へ与える影響を評価できていないことなど、ヒトにおける腱板断裂後筋変性の病態は未だ不明な点が多い。またPDGFR阻害薬は慢性骨髄性白血病で使用される分子標的薬であり、副作用や薬価の面で筋変性予防に対しての適応拡大は困難と想定され、実臨床で使用可能な新規薬剤の探求が求められる。
本研究の目標は、腱板断裂後筋変性を再現し得る動物モデルを確立すること、ヒトにおける腱板断裂後の筋変性の特徴を明らかにすること、筋変性機序を解明しその抑制・予防法を確立することである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)