破骨細胞の活性化、アポトーシスにおける低分子量G蛋白の役割に関する研究
【研究分野】整形外科学
【研究キーワード】
破骨細胞 / Rac1 / M-CSF / Akt / アポトーシス / 低分子量Gタンパク質 / アデノウイルスベクター / 骨吸収
【研究成果の概要】
破骨細胞は最終分化した増殖能のない細胞であり、一旦分化するとreceptor activator of NF-kB ligand(RANKL)やマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)などの生存因子が存在しないと速やかに細胞死に至る。破骨細胞の細胞死はアポトーシスによるものであることが報告されている。アポトーシスは「プログラムされた細胞死」とも呼ばれ、細胞への様々な刺激、あるいはストレスなどによって誘導され、DNAの断片化を特徴とする静かな細胞死である。近年破骨細胞の細胞死はアポトーシスによることが明らかになってきたが、このように骨代謝の要ともいえる破骨細胞がなぜアポトーシスに陥りやすいのか、またその分子メカニズムはいかなるものか、などについてはほとんど明らかになっていないのが現状である。ビスフォスフォネートは強力な骨吸収抑制作用を有する骨粗鬆症治療薬であるが、その作用メカニズムとして破骨細胞のアポトーシス誘導が知られている。われわれはこれまでにsmall G proteinのひとつであるRasが破骨細胞の生存に重要であり、Rasの活性を抑制するdominant negative Ras遺伝子の導入によって破骨細胞は速やかにアポトーシスに陥り、Ras-ERK経路を活性化するconstitutively active MEK1の導入によってアポトーシスが強力に抑制されることを明らかにした。やはりsmall G proteinであるRhoファミリーに属するRac1はラメリポディアの形成などアクチン細胞骨格の制御に重要な働きをすると考えられているが、ある種の細胞ではアポトーシスシグナルに関与することが明らかになっている。われわれは破骨細胞のアポトーシスにおけるsmall G protein、なかでもRho,Rac,Cdc42といったRhoファミリーの役割を明らかにした。
【研究代表者】