免疫関連ドライアイにおける眼表面および腸内細菌叢解析を応用した新規治療開発
【研究キーワード】
腸内細菌 / ドライアイ / 移植片対宿主病 / 免疫 / 抗菌薬 / 加齢 / 細胞老化 / 視機能 / Microbiome / 炎症 / 新規治療法開発
【研究成果の概要】
血液悪性疾患の根治療法である造血幹細胞移植には移植片対宿主病 (GVHD) という合併症がある。このGVHDは眼を含んだ全身諸臓器に重篤な炎症や線維化をきた し、ADLや生命予後に関わってくる。しかし、その病態は多岐に渡るため、特に眼GVHDにおいてはステロイド点眼のように副作用の強い対症療法しか存在せず、 患者さんは血液悪性疾患か、造血幹細胞移植で寛解したが、GVHDでADLが低下する。GVHDはステロイドで改善したが、ステロイドの合併症で苦しんでしまうという 社会的課題がある。申請者らは、GVHDの自己免疫疾患様の病態に着目し、病態に直接作用する新規治療法を開発してこの社会的課題を解決しようと考えた。具体的には近年、腸内細菌が免疫系の発達制御に関連し、中でも自己免疫疾患において重要な役割を担っている事が話題となっており、申請者らは眼科医の立場からこれらの報告を検討した結果、眼表面粘膜である結膜にも細菌叢が存在し、結膜・腸内細菌と自己免疫様疾患であるGVHD関連ドライアイに大きな関わりがあると 考えた。
これは細菌叢を変化させ、免疫抑制を行うことでGVHDを治療、あるいは移植前から細菌叢を変化させ、GVHDの予防かができるのではないかという病態に基づく着想である。今まで、病態をもとにした合併症の少ない治療を行ってこなかった新しい分野に、その病態に基づいた新規治療法を開発することに学術的な特色がある。予備的に結膜細菌叢を培養するとGVHD群では非GVHD群と比べ有意に細菌増加と検出菌増加が認められた、GVHD群では腸内細菌のみならず結膜細菌にも変化が出ていると示唆された。 本研究では、GVHDモデルにおいて、GMを経口投与することで、GVHDの表現型改善を認め、GMの経口投与は新規かつ臨床的に応用可能な戦略であると考えられ、2021年度は基礎的なエビデンスを発表した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)