U937細胞を用いた温熱応答メカニズムの解析
【研究分野】放射線科学
【研究キーワード】
Hyperthermia / Heat sensitization / SAPK / JNK / DNA-PK / wortmannin / p53 / U937 Cells / Cell death / Apoptosis / 温熱 / シグナル伝達 / p53 null / U937細胞 / 細胞死、アポトーシス / 温熱高感受性 / Akt / Wortmannin / リン酸化特異抗体 / 細胞死 / セラミド / 温熱療法
【研究成果の概要】
本申請では、温熱感受性のメカニズム、温熱応答、特に細胞死に至るシグナル伝達と応答遺伝子、タンパク質を明らかにする。そして温熱治療に有用な感受性修飾法の開発を長期目標とする。細胞の生死は、p53経路と別に、細胞の生存・増殖に関わるMAPK(Mitogen activated protein kinase),AKT経路と細胞死に関わるSAPK(Stress activated protein kinase)経路のバランスによって決定されるという仮説について、p53がnullで機能していないが温熱高感受性のU937細胞を用い、以下の解明を行った。
1)温熱応答に至るセカンドメッセンジャー分子、上流のシグナル伝達経路について解明
2)シグナル伝達に続き誘導される遺伝子群や応答タンパクのうち、温熱応答、特に細死感受性に関与する因子
3)温熱細胞死におけるDNA-PKの役割とwortmanninの温熱増感への関与のメカニズム
以上の研究の中で、温熱処理などでアポトーシスを誘導する細胞において、既知分子量とは異なる52kDa(p52)のJNKが誘導されてくること。p52JNKの発現誘導は、p54JNKの発現量減少と関係関係があること、更にp52は、P54JNKのカスパーゼ-3,7による分解産物であることをカスパーゼ阻害剤、p54JNKのアミノ酸置換体により証明した。細胞死に至る経路としてJNKの活性化によりc-Mycが急速に減少し、特異的inhibitorなどでc-Mycの減少を起こすと細胞死が起こることを証明した。wortmanninが示す温熱増感作用のメカニズムに関して、リン酸化部位特異抗体を用いたwestern blottingを中心にした実験やJNKのdominant negative作用をもつ変異細胞を用いた実験等からAKT経路の抑制ではなく、SAPK/JNK経路の活性化の増強によると考えられる結果を得た。
【研究代表者】