リン脂質代謝調節に基づくサルコペニアの新規分子機序の解明
【研究キーワード】
筋萎縮 / サルコペニア / リン脂質 / 加齢 / 老化 / ドコサヘキサエン酸 / 心不全
【研究成果の概要】
令和2年度は、6ヶ月齢の若齢マウスおよび24ヶ月齢に到達した加齢マウスの下肢骨格筋サンプル(腓腹筋)を用い、リピドーム解析によりリン脂質代謝産物を網羅的に観察することで加齢による筋萎縮とリン脂質代謝産物との関連性を調べた。
各群の下肢骨格筋サンプルを対象に、エレクトロスプレーイオン化法を用いた液体クロマトグラフィータンデム質量分析によるエイコサノイド・ドコサノイド解析を実施し、リン脂質代謝産物を同定した。大変興味深いことに、一部のアラキドン酸代謝産物、エイコサペンタエン(EPA)酸代謝産物、ドコサヘキサエン酸(DHA)代謝産物が加齢マウスの萎縮筋において有意に増加し、リノール酸代謝産物においては低下傾向を認めた。中でもEPA代謝産物は加齢マウスの萎縮筋において、より大きな変化を認めていた。このことから、萎縮筋におけるリン脂質代謝、特にEPA代謝異常が加齢に伴う筋萎縮において重要な役割を果たしている可能性が考えられる。
これら代謝産物の変化がどのように起きているのかを明らかにするため、今後は主要なリン脂質代謝酵素であるリゾフォスファチジン酸アシル基転移酵素およびリゾフォスファチジルコリンアシル基転移酵素などとの関連性について検討する必要がある。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)