bc1-2とNFκBを分子標的とした泌尿器系癌に対する遺伝子治療の開発
【研究分野】泌尿器科学
【研究キーワード】
bcl-2 / NFkappaB / 泌尿器系癌 / STAT3 / 分子標的 / 前立腺癌 / NFκB / アポトーシス / 腎細胞癌 / TRAIL / NF-κB
【研究成果の概要】
腎細胞癌において癌の進行と比例してNFκBの活性化が認められた。腎細胞癌培養細胞においてNFκBの特異的な抑制因子であるIκBαのcDNA(AxIκBαΔN)を導入することにより増殖が抑制された。これら感受性の細胞株ではカスパーゼ活性の増強とアポトーシスの誘導を認めた。NFκBの恒常的活性化が生じている細胞はTRAILに非感受性であり、TRAILの感受性とAxIκBαΔNの感受性とは逆相関した。膀胱癌細胞株やホルモン非依存性前立腺癌細胞株においてNFκBが活性化されており、新規に開発されたNFκB阻害剤であるDHMEQはNFκB活性を抑制するとともにアポトーシスを誘導した。アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞においてbcl-2が発現しており、antisense bcl-2 oligodeoxynucleotideはアポトーシスを誘導し、さらにはdiethylstilbestrolの殺細胞効果を増強した。CCAAT/enhancer binding protein(C/EBP)は細胞の分化誘導に関する遺伝子およびサイトカインの発現を制御する転写因子群であるが、局所浸潤を認める腎癌では限局性の腎癌に比べて活性が有意に増強しており、C/EBPβの活性化は腎細胞癌の浸潤性増殖と関連し、新たな治療に結びつく可能性が示唆された。腎細胞癌培養細胞においてIL-6がSTAT3のDNA bindingを増加させ、IL-6による腎細胞癌の増殖刺激においてSTAT3が重要な役割を果たしていることが示された。さらにはJakに特異的な阻害剤であるAG490はIL-6により誘導されるSTAT3の活性化を抑制し、アポトーシスを誘導し、STAT3のsignal pathwayを抑制することが腎細胞癌に対する新たな治療戦略となりうることがしめされた。
【研究代表者】