温暖化基礎理論の構築へ向けた気候フィードバック過程間の連動性の解明
【研究キーワード】
地球温暖化 / 気候フィードバック / 気候モデル / 上層雲
【研究成果の概要】
研究課題名にあるように、温暖化基礎理論の構築に向けた研究の一環として、気候フィードバック間の連動性の解明が期待される。本研究では、熱放射応答、水蒸気フィードバック、上層雲の高度フィードバックの関連性について議論し、初年度(2019年度)においてすでにそれらを一括りにまとめた定式化をYoshimori et al. (2020)で提唱している。2020年度には、対流パラメタリゼーション自体とそれに関連するパラメータを変化させた実験を組み合わせることによって連動性の検証に使うための気温減率フィードバックのばらつきを得ることに成功した。2021年度は、これらの結果の解析とともに、気候フィードバック間の連動性を活用して、現在気候から何がどこまで理論的考察に基づいて説明(予測)しうる部分なのかについて調べた。特に、PoChedley et al. (2019)を参考に、当初考えていた湿潤断熱減率を用いる方法よりも洗練された、希釈湿潤断熱減率(Romps et al., 2016)(エントレインメントによって空気塊が周囲の大気によって希釈される効果を考慮)を適用することによって、得られた気温減率フィードバックのばらつきを現在気候からある程度定性的に説明できることがわかった。一方で、気温の鉛直構造の変化と雲フィードバックの連動性を検証する過程の中で、より明瞭な解釈を得るためには、気温減率フィードバックのばらつきを生じる単一パラメータのみを系統的に走査する追加実験と定量化のための検証実験の必要性を認識した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)