担子菌子実体(きのこ)形成の分子基盤
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
担子菌 / 子実体形成 / DNA結合性 / 転写因子 / 標的遺伝子 / ヒダ(胞子形成器官) / 昆虫細胞 / タンパク質間相互作用 / 細胞接着
【研究成果の概要】
シイタケの子実体形成おいて重要な働きをするDNA結合性転写因子PRIBとLe.CDC5である。PRIBはZn(II)2Cys6ジンククラスターとbZIPモチーフを持ち16-bp 5'-GGGGGGGACAGGANCC-3'が、Le.CDC5はMYBドメインを有し7-bp 5'-GCAATGT-3'がコンセンサス配列である。priBとLe.cdc5は子実体形成初期において高程度に発現し、子実体成熟期においても発現している。mfbAは子実体の成長に伴って発現し成熟期で最も発現程度が高い遺伝子で、その産物MFBAはRGD配列、PHDフィンガーとSETドメインを持っている。以上3種類のタンパク質について以下の知見を得た。(1)PRIBが作用する標的遺伝子はpriB, ucklと出芽酵母YJR070cホモログ遺伝子(mfbCと命名)であり、mfbC(及びYJR070c)は翻訳開始因子eIF5Aと相互作用するタンパク質をコードしていると考えられた。mfbCは成熟子実体中で特異的に発現し、子実体のとくにヒダと柄で高発現していること、ヒダでは菌糸細胞の分岐部分で特異的に発現していることが分かった。(2)Le.CDC5が作用する標的遺伝子を含む3.7kbと3.9kbのDNA断片の全塩基配列を解析した。その結果、上記7-bpコンセンサス様配列がそれぞれの断片に複数存在し、それらにLe.CDC5が結合した。両断片中には機能未知の遺伝子が複数存在していることが分かった。(3)MFBAタンパク質のPHDフィンガーを含む断片が7-bp5'-ANAAGGT-3'に結合することが分かった。SETドメインについてコンピューター検索した結果、ヒストン(H3)リジン残基のメチル化活性が示唆された。これらのことは、MFBAタンパク質がクロマチンリモデリングタンパク質である可能性を示唆する。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山崎 丘 | 東京工業大学 | 大学院・生命理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
梶原 将 | 東京工業大学 | 大学院・生命理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】3,200千円 (直接経費: 3,200千円)