インドにおける人口と開発-総合的・歴史的アプローチ
【研究分野】経済史
【研究キーワード】
インド / 経済開発 / 人口動態 / 人口政策 / 人口推計 / 農業発展 / 生態環境 / 疾病史 / パキスタン / ベンガル / 人口 / 家族計画 / 開発 / 農業 / 就業構造 / 疫病 / 植民地 / 家畜 / 森林政策
【研究成果の概要】
本研究の研究課題別に記せば、以下の通りである。
(1)現代の人口動態・人口政策の分野では、嵯峨座が家族計画と高齢化の問題を絡めた調査をインドの学者と協力して行った。この成果は草稿が出来上がり、近々英文で発表される。また西川は、戦後インドにおける最大の人口問題である出生力転換を研究対象とし、州別の出生力の動向を精査した。
(2)過去の人口動態復元推計と、その疾病史的側面の解明にかんしては、斎藤が合計出生率および零歳時平均余命の推計を、南部マドラスと北部パンジャーブについて実施した。この結果はニューデリーにおけるインド歴史人口学会議で発表、高い評価を得た。また金子は、同じマドラスのデータをGIPと呼ばれる過去復元手法を用いた実験を行い、現在改訂中である。成果がまとまれば、世界的にも注目をあびる研究となろう。疾病史の分野では、脇村がマラリヤを手がかりとした実証的な解明を試み、アメリカにおける研究会議で報告するなど、積極的な活動を行った。
(3)農村・労働経済の変容および生態環境にかんしては、黒崎が農業生産の長期的変化をインドとパキスタンにかんして追跡し、優れた論文を国際的なジャーナルに発表した。宇佐美は、全国標本調査の個票を用いて家族構造と貧困にかんする膨大な作業を必要とする丹念な分析を行い、篠田は、家畜の歴史統計データベースの作成を通じて、所有構造と貧困の関連をユニークな視点から分析した。また、生態学的な視点からは、第3年度にメンバーに加わった吉住が森林史にかんする丁寧なサーヴェイを行った。
これらのほとんどは、最終年度の12月に開催された国際ワークショップで報告され、討議されたものである。インドから招いた2名と、国内からもインド人研究者1名を含む数人の参加をえて、活発でインテンシヴな討論によって充実した研究交流の場をもつことができたことも、本研究の大きな成果であった。
【研究代表者】