人口減少下の大都市近郊における農的資源の評価
【研究分野】次世代の農資源利用
【研究キーワード】
人口減少 / 大都市近郊 / 土地利用 / 農業経営 / コミュニティ / 持続可能性
【研究成果の概要】
総合評価:都市農業の持続可能性評価について,前年度の研究レビューに,直近の研究動向を追加した。また,生産緑地貸借の動向について整理し,最終とりまとめの論点整理を行っている。
農業経営評価:東京近郊の農業経営者に対するアンケート調査の分析から,常雇数2名以上の経営では発展段階が異なることが示された。また,ヒアリング調査から経営目標や家族の関わり方によって,人的資源管理が異なることも示された。さらに,東京都内のJA営農指導担当者を対象としたアンケート調査から,組織コミットメントが人事・評価制度および就業意向と関連していることを示した。
民間主体評価:都市近郊において市民農園を開設する企業および組織を対象にアンケート調査を実施し,Covid-19下における農園運営,利用者ニーズ,利用実態,農園コミュニティの状況等を把握した(n=56)。また,開設企業のアドバイザーと情報交換を行い,利用者数の動向と運営方法を把握した。
コミュニティ評価:国内各地のコミュニティガーデンを事例として,運用実態およびフードシステムのガバナンスについて明らかにした。また,練馬区「南大泉三・四丁目農の風景育成地区」のコーディネート組織へのヒアリングを行い,活動内容や地域内外との交流づくりの実態を把握した。
土地利用評価:東京都町田市の市街化区域内農地の転用・残存の実態についてGIS土地利用データを分析し, 近年は緑地が少ない市街地内で転用が多くみられる傾向が確認された。さらに,生産緑地に関する登記データ(n=931)を用いて,相続実態を分析した結果,後継者がいる農家の農地も減少しており,特に生産緑地面積が大きく農家数も多いエリアほど,減少幅が大きいことがわかった。生産緑地指定後30年が経過する2022年に向けて,直近10年の相続登記が全体の3割を占める一方,半数の農地で今後の維持が課題となることが示された。
【研究代表者】