生物分布境界域「下北半島」における更新世人類集団の行動様式に関する学際的研究
【研究キーワード】
生物分布境界域 / 下北半島 / 更新世 / 洞窟 / 行動様式 / 生物分布境界 / 後期更新世 / 石灰岩地帯 / 旧石器文化
【研究成果の概要】
後期更新世最寒冷期、それまで列島他地域と異なる発展を遂げた北海道の旧石器文化は、氷橋化した津軽海峡を通して他の動物群とともに本州島に流入した。そのため同時期以降の本州島において、北海道の影響を受けた旧石器文化が列島各地にみられるようになる。しかし北海道と本州島の両旧石器文化の最初の接触点ともいうべき津軽海峡南岸域では、人類遺跡の調査例数が少なくその実態は明らかではない。そこで本研究では、津軽海峡南岸域、具体的には下北半島北端を研究対象に、異なる生業活動の場と推定される開地遺跡と洞穴遺跡をそれぞれ発掘調査し、出土遺物の比較研究をおこなうことで、同時期の北海道から本州島への人類(文化)の流入の在り方を具体的に示すことを目的とする。
初年度の平成30年度は、尻労安部洞窟の補足的発掘調査と下北半島周囲における旧石器時代遺跡の分布調査を実施した。前者では洞窟東半分の堆積物の掘削を実施し、更新世における洞穴の形状の把握に成功し、洞窟の形成時期・形成要因に関する貴重な所見も入手した。また後者では、事前に確認済みの洞窟以外に新たに5ヶ所の洞穴・岩陰を発見し、測量調査等を行った。いずれもが南側に開口し、至近の位置に湧水地をもつ。これらの特徴は、国内の他の旧石器時代・縄文時代の洞穴遺跡・岩陰遺跡の立地条件と共通であり、同時期の文化層が確認される可能性が高い。
研究2年目となった令和元年度は、尻労安部洞窟の主に東側洞奥部の補足的発掘調査を更に進め、過去の調査の出土旧石器時代遺物の詳細な所属年代の確定作業も行った。また下北半島地域における分布調査も継続して実施し、新たに3か所の洞穴・岩陰を発見するととともに、過年度確認の洞穴・岩陰の一部については試掘調査も実施したが、旧石器時代の文化層を確認することはできなかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
佐藤 孝雄 | 慶應義塾大学 | 文学部(三田) | 教授 | (Kakenデータベース) |
奈良 貴史 | 新潟医療福祉大学 | リハビリテーション学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
澤田 純明 | 新潟医療福祉大学 | リハビリテーション学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)