分泌型ホスホリパーゼA_2の新規に生理機能の発見とその分子機構の解析
【研究分野】応用微生物学
【研究キーワード】
分泌型ホスホリパーゼA_2 / 神経栄養因子 / L型カルシウムチャネル / アポトーシス / PC12 / 小脳顆粒細胞 / 神経突起伸長 / 麹菌 / 神経突起伸張
【研究成果の概要】
sPLA_2およびLPCのシグナル伝達においてG2Aが関与するかどうかを検討するため、PC12細胞において内因的に発現しているG2AをRNA interference法によって発現抑制する実験を行った。ラットG2Aに特異的な配列をU6snRNA遺伝子のプロモーターを持つpmU6proベクターに挿入したのち、アデノウイルス発現ベクターpAxcwitに挿入し、目的のアデノウイルス(r2-Ad)を得た。r2-AdをPC12細胞に感染させたところ、内因的なG2Aの発現が抑制されることがRT-PCRにより明らかになった。さらに、r2-Adの感染は糸状菌sPLA_2、LPC、ヒトグループXsPLA_2によるPC12細胞の突起伸長を抑制した。以上の結果より、LPCの遊離を介したsPLA_2の神経栄養因子様作用にG2Aの活性化が関与することが強く示唆された。
一方、麹菌がそのゲノム配列中に持つ2つのsPLA_2遺伝子spaA、spaBの解析を行った。組換えタンパク質を用いて活性測定を行った結果、SpaAは10mMCa^<2+>、pH4-5、SpaBは1mMCa^<2+>、pH7-8に至適条件を持つことがわかった。それぞれに対する抗体を作製し、局在解析を行ったところ、SpaAは大部分が培地中に分泌されるのに対し、SpaBは菌体画分に存在することがわかった。間接蛍光抗体法による観察では、SpaAは細胞壁に局在したが、SpaBは小胞体様の網目状構造、またはlipid bodyに似た粒状の構造体に局在することが分かった。以上の結果から、SpaA、SpaBは単に重複して存在するのではなく、独立した機能を持つことが強く示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)