アジア人の食と腸内フローラと生活習慣病に関する国際共同調査
【研究キーワード】
腸内細菌叢 / アジア / 胆汁酸 / 2型糖尿病 / 肥満 / バクテロイデス / インドネシア / モンゴル / 腸内フローラ / 生活習慣病 / 2型糖尿病 / プレボテラ / 腸内細菌 / 食 / エピゲノム
【研究成果の概要】
本年度は、インドネシア、フィリピン、そしてモンゴルの肥満者および2型糖尿病患者、そして健常者の糞便の菌叢解析を16S rRNAアンプリコンシーケンスにより行い、また、糞便中短鎖脂肪酸のプロファイルをNMRにより、そして糞便中の胆汁酸プロファイルをLC-MSMSにより行った。そして、それらのデータと肥満そして2型糖尿病との関連性を解析した。インドネシアにおいては、肥満患者においては、バクテロイデス属やルミノカッカセアエ科細菌群などの腸内優占菌の存在比が有意に低下しており、、いわゆるディスビオシス気味の腸内細菌叢になっていることが示された。一方、2型糖尿病患者では、腸内細菌叢に大きな変化はなく、Bacteroides fragilisが多くなっていた。また、2型糖尿病患者には抱合型胆汁酸が少なくなっていた。Bacteroides fragilisの強力な抱合型胆汁酸の脱抱合能により、抱合型胆汁酸量が低下しているものと考えられる。特にウルソデオキシコール酸の抱合型胆汁酸は、FXR受容体のアンタゴニストとして血糖値のコントロールに重要な働きをすることが知られており、その低下と2型糖尿病の惹起の関連が示唆される。
フィリピンの調査は、都心部のマニラと地方部のアルバイでサンプリングを行い、上記のインドネシアと同様の解析を行った。アルバイの住民の糞便細菌叢はプレボテラを主体とするタイプが多いのに対し、マニラの住民はルミノコッカセアエ科を主体とするタイプが多かった。プレボテラ型の保有者にはほとんど2型糖尿病患者がいないのに対し、ルミノコッカセアエ科型の保有者には有意に多く2型糖尿病患者が含まれていた。ルミノカッカセアエ型の保有者はプレボテラ型の保有者に比べて、脂肪の摂取量が多い食習慣を有しており、そのような食が2型糖尿病を惹起しているものと思われる。同様の傾向は、モンゴルでも観察された。
【研究代表者】