体内パトロール分子によるテイラーメイド合成化学治療システム
【研究キーワード】
パターン認識 / 糖鎖クラスター / パトロール分子 / 生体内合成化学治療 / がん
【研究成果の概要】
本年度では、外部光刺激によって生体内で糖鎖クラスターの「パターン認識」を可逆的に変化させることにより、体内を自由に動き回ることのできる「可変」糖鎖クラスター分子を検討した。すなわち、歪み解消のクリック反応と理研クリック反応を駆使して、ヒト血清アルブミンのアミノ基に対してアゾベンゼンを有するN-型糖鎖を効率的に導入した。この方法を用いて、末端にN-型糖鎖(アゾベンゼンを含む)と、もう一種類の違う構造を持つ糖鎖(アゾベンゼンを含まない)をアルブミン上に導入し、糖鎖パターン認識分子を合成した。この分子に対して、光を照射、ついで加温することにより、アゾベンゼンのtrans/cis間の異性化を経て、糖鎖パターンを光で変化させることを可能とした。
このように光を駆動力とする体内パトロール分子の合成を実現したが、短波長の光照射による細胞障害性や不十分な光異性化による移動効率に問題が生じた。そこで、光に加えて体内での有機反応を駆動力とする分子の開発も併せて検討した。上記と同様の手法を用いて、生体直行性官能基を含む糖鎖パターン認識を合成した。この分子に対して、選択的に反応する試薬を作用したところ、予想通りに生体直行性反応が進行し、新しい糖鎖パターンを構築できることが分かった。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)