18〜20世紀における北京のライフラインと都市の社会経済構造に関する研究
【研究分野】東洋史
【研究キーワード】
北京 / 生活用水 / 契約文書 / 社会経済構造 / 漕運 / 糞道 / 水道路 / ライフライン / 都市
【研究成果の概要】
この課題では、北京の上・下水の供給・処理を中心にし、先行研究が少ない18-20世紀における北京のライフラインに関して資料整理と関連の研究を行ない、その内容は主に以下である。
東京大学東洋文化研究所所蔵の仁井田コレクションの北京の生活用水売買に関する契約文書を文字に起こし、注釈を含め、出版向きの整理を行なった。
18-20世紀の生活用水の供給に関して20世紀半ばまで給水体制の主力としての「水道路」というシステムは、山東省等出身の肉体労働者によって20世紀初発足した水道局という近代的な給水システムの市場侵蝕を受けながら北京の住民に給水していた。遅くとも20世紀前半まで、「水道路」という人力給水体制が、伝統技術を用い、零細的な経営・販売方式で巨大都市北京の百万以上の人口の日常生活用水を支障なく供与したのである。
18-20世紀における北京の下水処理に関して、15世紀以降、都市の制度、下水道等の基礎施設、都市の共生管理システム等の不備、水、公衆トイレ、排泄物処理システムの構造的不足等によって、北京の住民は、長期的に劣悪な衛生環境に置かれていた。百万人以上の人口と多くの動物の排泄物に対して私的な「糞道」システムは、殆ど公的な支援、関与を受けないまま、数世紀にわたって、華北地域の農業生産の貴重な肥料の原料として、人力で北京市内の人畜排泄物を収集し処理し、北京の最低限の清潔を維持していた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,530千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 330千円)