信号処理を中心とする特定用途向けVLS[アーキテクチャ設計支援システムの研究
【研究分野】情報工学
【研究キーワード】
設計自動化 / ASIC / USIC / ハイレベルシンセシス / アルゴリズム記述 / 構造記述 / ハードウェア記述言語 / 信号処理アルゴリズム / 設計支援システム / 高位機能合成 / パイプライン処理 / 信号処理 / 専用プロセッサ / ハ-ドウェア要素 / マイクロプログラム
【研究成果の概要】
われわれは、すでに本研究にさきだって5年間にわたり、高位記述に基づくVLSI設計支援システム(SYARDS)の研究を行ってきた。そして、このシステムを既存のVLSI論理合成システムと接続し評価を行い、このようなシステムの可能性を示した。本研究では、その基礎の上に立ってシステムをさらに高度化・一般化して、プロセッサ設計のみならず、その利用のための環境を含めたシステムを実現し、将来の上位設計支援技術の基礎を作ることを目的として進められた。具体的には、並列処理を含む仕様記述言語の整備、その解析系と命令のスケジューリング、シミュレータと処理回路合成などの問題を取り上げた。
本研究のもう1つのテーマとしては、多層並列回路の設計が取り上げられた。この研究は、松本隆が遂行し画像処理に必要となる規則性抽出フィルタの設計など重要な成果が得られた。
設計支援システム(SYARDS)は、高級言語(PascalまたはC)で記述されたアルゴリズムを実行する専用プロセッサを自動的に設計することを目的とするシステムである。この3年間の研究期間の中では、アルゴリズムに含まれる局所並列性を抽出した最適設計法、デジタル信号処理の実規模レベルのアルゴリズムを対象とする場合に必要となるビット幅決定の支援、C言語による並列処理記述の導入、パイプライン設計の最適化などの研究を進め、SYARDSを一層強力なシステムとすることができた。
この間、プロセッサ設計においても、その高速化にともなって、ハードウェアとソフトウェアの両面から適切な設計を考えるCodesignの概念も生まれてきたが、本研究は元来、ハードウェアだけでなく、そのプログラムを生成するコンパイラについても同時に作成することを特長としており、Codesignの考え方とも親和性が高い。
今後、SYARDSはこのような方向にも発展の可能性が高く、本研究の成果は今後のVLSI設計支援技術に大きな意義があると考えている。
【研究代表者】