プラスチック内部残留応力の非侵襲精密測定法の確立
【研究キーワード】
残留応力 / 高分子配向 / テラヘルツ波 / 偏光計測 / 差周波 / プラスチック / 偏光
【研究成果の概要】
本研究の目的は,プラスチック成形品の内部残留応力を三次元的に定量評価できる精密計測技術を確立することである.基盤となる物理現象は,樹脂内ポリマーの振動がテラヘルツ(THz)帯域にある点である.THz差周波光源,THz集光・偏光光学系を設計してTHz偏光計測装置を構築し,プラスチック成形品のTHz偏光依存性から内部残留応力の大きさ,向きをサブミリ空間分解能かつ非侵襲で定量評価可能な計測技術を実現・確立する.
提案法の実現のために,2021年度は周波数スイープが可能な光源,偏光制御およびサブミリ集光が可能な光学系を設計・発注した.光源と分光が一つのシステムとなったTHz-TDSはひとつの選択肢ではあるが,装置が高価かつ大型で,試料サイズも限られてしまうため,ピコ秒レーザの差周波を利用した波長可変THz光源を設計した.具体的には,非線形素子に対して周波数が数THz異なったレーザを入射させて差分のTHz出力を発振し,そのビート信号を単一走行キャリアフォトダイオード(UTC-PD)でミキシングすることにより,高速かつ安定した差周波出力を得る設計とした.加えて,光源に適切なTHz偏光光学系を設計した.試料の前後に偏光子を入れ,クロスニコル配置にすることによって偏光依存性に対する感度を高める設計とした.また透過・反射の何れの測定にも対応可能とし,またCW光源に付き物である干渉の影響を排除するため,各偏光子は少し傾斜させて配置する設計としている.
来年度は設計・発注した光源・光学系を構築してシステムを完成させ,基礎実験を進めていく予定である.
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)