貯留・浸透施設による都市域水循環システムの保全効果の評価
【研究分野】土木環境システム
【研究キーワード】
雨水頂部浸透施設 / GISデータベース / 分布型水循環モデル / 流出抑制 / 水文情報地図 / 水循環保全 / 都市化 / 雨水貯留浸透施設 / 水循環モデル / 分布型モデル / 浸透 / 貯留
【研究成果の概要】
本研究では,海老川流域を対象にGISデータ手法等を用いた流域スケールの水循環の中で,雨水貯留・浸透システムの効果を評価できる分布型水循環モデルを構築した.以下に構築したモデルとそれを実際に流域に適用した結果について示す。
構築した分布型水循環モデルは,地表面を3次元,不飽和層のうち水分変化の激しい2層までは3次元,地下水までの第3層は一次元,地下水層は3次元として取り扱い,次の3つのサブモデルから構成されている.即ち,(1)自然系水循環モデル,(2)人工系水循環モデル,(3)貯留・浸透施設モデル,(2)のモデルは,河川流量に日周変動と流域内住宅の給水・排水データを基に,その過程をモデル化した.(3)のモデルは,浸透流量と水位を一次式で近似した線形モデルを用いる.また,この研究では,土壌特性,流域内人口,給水量,土地利用等の流域に関するデータをGISソフトウェアを用いることにより,データベース化し,モデルへの入力データとした.GISを用いることにより,様々なデータ(水文情報)を統一した形式で扱え,データの入力,計算,可視化までを一括して行なうことが可能になる.このことは,分布型水循環モデルにおいて非常に有用である.このモデルを前原川流域に適用し,検証を行なった。その結果,無降雨日の日周期変動と降雨時のピーク流出量は良く再現されており,良好な結果が得られた.次に,雨水貯留・浸透施設導入による効果の評価を行い,施設の洪水流出抑制効果と地下水流出量の増加を確認することができた.また,このモデルでは,結果が水文情報地図として得られるので流出発生域の地形的特徴が明確になり,施設導入効果を非常に捉らえやすくなるという利点を持っている.本研究で構築したモデルを用いて得られる各種水文情報地図と実際の土地利用図あるいは土地利用計画図を重ね合わせることにより,洪水対策だけでなく,水循環の観点から土地利用の在り方を考えることができるようになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
弘中 貞之 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 教務職員 | (Kakenデータベース) |
沖 大幹 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 講師 | (Kakenデータベース) |
HEATH Srikan (HERATH SriRa | HERATH Srika) | 東京大学 | 生産技術研究所 | 客員教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993 - 1995
【配分額】7,200千円 (直接経費: 7,200千円)