大都市内湾における環境管理の理念構築に資するブルーカーボン像の提示
【研究キーワード】
ブルーカーボン / 東京湾 / 大阪湾 / 二酸化炭素フラックス / 気候変動 / 内湾 / 数値モデル / 現地観測 / 港湾 / 藻場 / 干潟 / 湿地
【研究成果の概要】
湿地・干潟・藻場・浅場・藻場港湾・沖合といった,様々な環境を有する都市内湾においては,季節変動や沿岸湧昇等のイベント的現象も大きく影響を与える.そのため,都市内湾のブルーカーボンの評価には,季節的な調査だけでは不十分であり,詳細な時空間変動を捉える連続観測や生物地球科学過程を考慮した数値モデルを活用した精密数値再現が不可欠である.
東京湾においては自記式水質計を用いた連続観測と採水による炭酸系の調査をセットで行い,自記式水質計の計測項目からCO2分圧を推定する手法の開発に取り組み,塩分およびpHの連続測定値と採水分析を組み合わせることで,CO2分圧の連続推定法のプロトタイプを構築した.一方,流動・波浪・水底質統合モデルに炭酸系を組み込んだ数値モデルを用い,周年の再現計算と水面における周年の炭素収支や季節別の値を求めるプロトタイプを構築した.
大阪湾では,コロナ禍のため2020年に実施できなかった干潟(大阪南港野鳥園人工干潟),港湾海域(鳴尾浜),淡水域(一庫ダム,比奈知ダム)といった環境特性の異なる水域で,CO2分圧を季節ごとにモニタリング調査を実施した.水中のCO2分圧を1時間ごとにモニタリングできる観測手法を確立し,各水域で季節ごとに2週間の連続観測を実施することで夜間も含めたCO2分圧の日内変動を明らかにすることができた.また,大阪湾沿岸部のCO2フラックスの空間分布について季節別の調査を実施して,データの追加を行った.さらに,淀川河口湿地帯において,渦相関法を用いたCO2フラックス(ヨシ原)と水面のCO2フラックスの連続同時観測を行うことで,CO2フラックスの日内変動の大きさの違いを明らかにした.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
遠藤 徹 | 大阪公立大学 | 大学院工学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
大谷 壮介 | 大阪公立大学工業高等専門学校 | その他部局等 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)