都市公園の平面形態における形式分析
【研究分野】園芸・造園学
【研究キーワード】
都市公園 / 平面形態 / オ-プンスペ-ス / 都市デザイン / 日比谷公園 / 防災公園 / 震災復興公園 / 都市 / 公園
【研究成果の概要】
初年度は、事例研究の対象を日本国内における戦前の都市公園に限定したうえで、平面形態を(1)形態要素、(2)形態構成、(3)形態構造の3つの段階において分析した。その結果、戦前の小公園の平面構成は、平面形態を構成する軸の数とそれによって分割される図形の輪郭形態によって分類することが可能であること、さらに公園の中に植栽された樹木群と諸施設の配置形態の分析から、空間軸の象徴的表現、空間輪郭の明示、空間の等質化、空間機能の直接的・間接的表示などの形態構成上の特徴が抽出された。また、形態の求心性と拡散性、完結性と部分拡張性、外部閉鎖性と内部拡張性などが、形態構造的な概念として特定できた。
第2年度は、初年度において実施した研究の成果から得られた平面形態の分析方法論を用いて、3つの異なる種類の都市公園を対象としたケ-ススタディを実施した。まず、台東区の小公園における平面形態の改変構造では、改修による形態要素と形態構成の変化は著しいが、それらは開園当初の平面形態が有していた構造的特徴に規定されるかたちで生じていることが明らかとなった。つぎに、防災公園の平面形態の特徴としては、空間に求められている機能の特殊性ゆえに、形態要素と形態構成のありかたに重点をおいた整備がなされている。しかし、どの事例においても、形態構成のヒエラルキ-を生成するために形態要素の配置を改変することによって、構造を形成する余地は十分にのこされていることが確認された。さらに、平面形態における「地域性」の演出手法を検討した国内の18の事例では、形態要素、形態構成、形態構造のいずれのレベルにおいても、「地域性」を意図したデザインのありかたを抽出することが可能であった。形態要素には素材と工法が、形態構成には公園の立地特性が、形態構造には公園敷地外部への視覚の延伸が、それぞれ対応しているものと推察された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
赤坂 信 | 千葉大学 | 園芸学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1990 - 1991
【配分額】1,700千円 (直接経費: 1,700千円)