インドにおける消費パターンの変化と中小・在来産業の展開:1860-1950年
【研究分野】経済史
【研究キーワード】
インド / 経済史 / 社会史 / 消費 / 社会変動 / 所得 / 中小工業 / 伝統産業 / 国際研究者交流 / アメリカ:インド:イギリス / インド:アメリカ / インド:アメリカ合衆国
【研究成果の概要】
1.本研究は、2005年12月にインド・プネー市で国際ワークショップ"Toward a History of Consumption in South Asia:1850-1950"を組織し、5力国からの16名が報告を行った。これらの報告は、インドの代表的な学術出版社から刊行される予定である。
2.本研究を通じて、独立以前の時期のインドの消費パターンの変化に関して、次のような知見をえた。
(1)インド社会の階層やコミュニティごとに特徴的な伝統的な消費のパターンは、19世紀末以降、変化をしていった。その変化は単純に西欧化したのでなく、「伝統的」な嗜好が新たな形で再生・創出される場合もあった。
(2)この消費の変化は、インドの社会構造や階層関係の変動によって大きな影響を受けた。その一部として、農村や都市下層民の自立性の強化に伴って彼らの消費が多様化し、部分的には上層階層の消費パターンを他の階層が模倣することで、新たな消費需要が形成された。
(3)メリヤス製品やマッチなど、安価な「近代的」商品が、農村部を含めて大衆的な市場を見いだすことができた。
(4)「伝統的」と思われていた手工業者や在来の産業は、新たな道具や機械の導入、小規模作業場の形成などの生産組織の変化、商人による情報の伝達とデザインの開発などの形態で、ダイナミックに変化に対応した。その結果、新たに創出された需要に基づき、「在来」産業は新たな展開を遂げることができた。
(5)両大戦間期に、インドの農業労働者の賃金水準は、ベンガル地方などを除いて、上昇する傾向を見せた。
(6)大衆的な消費の変動は、西欧との交易関係よりも、日本や中国からの繊維品・雑貨輸入やビルマからの米輸入など、インドとアジア諸国とのネットワークによって促進される部分がより大きかった。生活文化変容のあり方のアジア内の共通性との関連が想定される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大石 高志 | 神戸市外国語大学 | 外国語学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
井坂 理穂 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】7,500千円 (直接経費: 7,500千円)