社会縮小化時代における地方公共団体の企業的活動の方向性と公法的規制理論
【研究キーワード】
持続可能性 / 社会縮小 / 公営企業 / 企業的活動 / 地域創生・再生 / 持続可能な開発目標 / 公共サービス / 経済性 / 民主的統制
【研究成果の概要】
地方公共団体の企業的活動のひとつで、とりわけ注目されている水道事業(地方公営企業法2条1項1号)に焦点を当てて研究を進めた。多角的な視点からの研究が不可欠であるが、とりわけ、当該企業的活動実施に関する、①「制度内在法制」面及び②「制度外在法制」面の両面から研究を進めることが必要不可欠であった。
前者の①の面からの研究は、本研究の中心をなし、かつ、従来から一般に進められてきた(近時の一例、正木宏長「公共事業の持続可能性-水道事業の担い手に着目して」公法研究82号(2020年))。近年では、水道事業の運営手法として民間活力を活用するためのコンセッション方式(利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公的主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式。水道法24条の6)に注目が集まっていることから、その検討を行った。当該方式は事業の持続可能性を確保するための公民連携のあり方に関する新たな法理論がより一層探究されなければならない。また、公民連携の進展は、地方公共団体側の事業実施を支える人的組織に関する法制度の変革を迫るため、地方公務員制度とその法理論の考察もあわせて必要となる。人口減少つまり社会の縮小に伴い公務職場における人材確保が将来的に心配されており、それ故、技能等の継承と人材の育成の視点からの公務員制度の見直しが強く要請されることになる。
そして、事業を取り巻く外的環境をも視野に入れて研究をしなければ、持続可能な事業実施の方向性の検討はできないことから、前述の後者の②の面からの法理論研究が不可欠である。需要者・受給者である住民が存在してはじめて事業が成り立つのだから、地方創生・再生の政策・法制の研究が並行することが不可欠であり、例えば、令和3年の過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の検討を含めた研究もさらに必要である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)