個々人の健康増進と地域課題解決の相乗効果を生み出す「地域的処方」の理論化
【研究キーワード】
コミュニティ・カフェ / 居場所 / 協働 / 地域資源 / まちなかの居場所づくり / 公的事業 / デザインコーディネート / コミュニティ / 地域的処方 / まちの居場所 / まちづくり
【研究成果の概要】
本研究では、医療・福祉関連団体の活動を通した「個々人の健康増進」と「地域課題の解決」、そしてそれらの相乗効果を相対的に「地域的処方」と呼び着目している。そして個別事例がまとまりを持たずに散見されている状況に対して、その実施方法を理論化することが必要であると認識している。そして理論化の枠組み設定と、理論の描出を目指している。
2021年度は、2020年度までに実施した調査から得られた「地域的処方の」枠組み設定、「地域的処方」進展プロセスの可視化、「地域的処方」促進要因の解明に関する成果を理論として取りまとめることを試みた。具体的には、「地域的処方」の実施拠点として、地域住民を中心とした不特定の人々が気軽に訪問可能で、利用者間の関係構築が見られる場の代表として「コミュニティ・カフェ」に注目するとともに、その中でも高齢者介護などの福祉事業や、医療・看護事業を併せて実施する事例に着目し、運営者らがコミュニティ・カフェの運営と福祉や医療・看護事業との関係をどのように位置付けているかという点について、具体的な認識・手法を特定した2020年度までの成果を活用し、それらを理論的に整理する概念を検討した。その概念としては、「私的側面/公的側面」という対照的概念を用いることとした。この概念を用いた理由としては、民間が私的に運営することによって、地域の様々な主体と柔軟に連携するコミュニティ・カフェと、コミュニティ・カフェの経営を支えつつも事業内容が公的機関から規定されており、運営に制約をもたらすことや地域からの誤解を生む可能性を孕む福祉や医療・看護事業が、常に緊張関係に有ることを表現するためである。そして、私的側面/公的側面の両立という観点で、「地域的処方」が成立する要件を整理した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)