<百年カンポン>における土地供給とコミュニティの持続性に関する研究
【研究キーワード】
カンポン / 土地所有 / ブタウィ・ハウス / コミュニティ / 移築 / 花卉市場 / ジャカルタ / インドネシア / インフォーマル / インフォーマル居住地 / 土地制度 / 都市化
【研究成果の概要】
本年度(2021年度)は、昨年度に引き続き、新型コロナウィルスの影響でインドネシアへの渡航が全くできなかった。そのため現地調査を断念し、ジャカルタ全域のマクロ分析を行った。
具体的には、これまでに作成した居住環境分類のデータをクルラハン(区)単位に集計し、中央統計局が実施する村落潜在性データ(PODES)や人口センサスデータとの統合を図った。ジャカルタの居住環境分類は、250mメッシュを単位としたデータであるが、一般的に提供されている統計データはクルラハン単位である。そのため、クルラハン単位にデータを統一し、社会経済的統計データとの相関をいくつかのサンプルデータを用いて検証した。その一例として、2010年の人口センサスを用いたジャカルタ特別州出身者の割合との関係を考察した。ジャカルタ特別州出身者の割合が低い区、すなわち新規流入者が多いと想定される区では、都市内集落型(都市型カンポン)の割合が低く、計画配置型の割合が高い傾向が出た。従来、都市内集落型は新規流入者の割合が高い、流動性の高い場所との印象が持たれがちである。しかし、この結果はむしろ、そこに流入した世代の次の世代にあたる地元出身者が増加し、ある意味でコミュニティの成熟した居住区になっていることを示唆している。反対に計画配置型の割合の高さは、ジャカルタの外から流入した中間層のベッドタウンとしてそうした住宅地が機能していることを示唆している。こうした結果は、申請者の特定地域でのフィールド調査の結果と一致した傾向を示している。独立後の流動性の高い都市型カンポンの状況が、歴史的な場として変化しているという本科研の仮説を支持する結果となった。現在収集しているPODESのデータを用いて、多変量解析などを今後進める予定である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)