古代末期における教会法と歴史叙述の研究
【研究分野】ヨーロッパ史・アメリカ史
【研究キーワード】
西洋古代史 / キリスト教 / 歴史叙述 / 教会法 / 文化変容 / 都市 / 神話 / ローマ法 / ギリシア神話 / ラテン語 / ヘレニズム / 古代ローマ帝国 / 古代ローマ / 初期ビザンツ / 古代末期 / ローマ皇帝 / 教会史 / ローマ帝国 / 修辞学 / カノン法 / 写本 / 小アジア / コンスタンティノープル / 修道院 / カノン / アタナシウス
【研究成果の概要】
ローマ帝国の末期に、キリスト教が国家の公式宗教としての地位を得たことに伴って、ヘレニズム・ローマ共和政期以来の伝統を持つローマ社会も、それまで社会的少数派であったキリスト教会も、変化を強いられることになった。本研究では、キリスト教会の側がこのような状況下で自らの歴史叙述の様式を変容させていった過程を分析し、伝統的な古典文学の作法をも取り入れていったことを示したほか、教会会議規定集成においては、5世紀半ばごろを境として、過去との連続性の示し方、規定の編纂の仕方に変化が認められることを指摘した。また、帝国を形成する諸都市の外交交渉の中で、使徒の伝承や聖人伝が果たしていた役割を明らかにした。
【研究の社会的意義】
広範な支配領域を誇った古代ローマ帝国内には、共通の教養としての古典古代的伝統に加え、多様な在地文化の伝統があった。これらの文化が、キリスト教を公式に採用するようになったローマ帝国のもとで受け継がれ、変容していった過程は、20世紀末以来隆盛を誇る古代末期研究の重大な研究対象となっている。本研究は、教会史叙述、教会規定の編纂過程を特に大きな着目点として、その実相を明らかにした。この研究の成果は古代、中世といった古典的な時代区分で分けられがちな時代についての連続性の側面を明らかにするとともに、地中海周辺地域の文化的共通性や地方ごとの特殊性を浮かび上がらせることにつながるものである。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2017-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)