両面受光型太陽電池の垂直設置時の経済性・環境性評価手法の開発と適地地図の作成
【研究キーワード】
両面受光型太陽電池 / 垂直設置 / ライフサイクルアセスメント / 地理情報システム / 砂漠 / 天空率 / GIS / 乾燥地
【研究成果の概要】
両面受光型太陽電池は,近年の技術開発により通常の片面受光型太陽電池と価格が近くなり,利用が拡大している。また,両面受光型太陽電池は垂直に設置することで発電量をあまり減らさずに,太陽電池への砂の堆積や積雪を防ぐことができ,土地の有効利用も可能である。一方で,従来型の発電量推定手法は片面受光型太陽電池を想定しているため,両面受光型太陽電池に対応した発電量推定手法が求められている。
本研究では,垂直設置により地面反射成分など複雑化する発電量の推定方法の開発を行い,また,環境性と合わせた評価として,ライフサイクルアセスメントと地理情報システム(GIS)を組合せ,垂直設置型両面PVの経済性・環境性が分かる適地地図の作成を行い,利用価値を明らかにする。
昨年度までに,太陽電池アレイの離隔距離を最適化する離隔距離最適化手法のため,出力に影響する太陽電池モジュールのクラスタの考慮の他,前方の太陽電池など障害物を除くための視野度推定手法の開発を進めた。本年度は,後述する地面反射成分の推定手法の追加に加え,GISを用いた適地地図の作成を進めた。世界全体を対象とし,地表面アルベドや気温を考慮し,離隔距離最適化を行った上でコストを評価し,地域による最適な設置方法を示した地図を作成した。これらは,PVSEC-31太陽光発電国際会議(2021年12月シドニー,オンライン)等で報告した。
また,垂直設置された両面受光型太陽電池は地面反射成分が大きくなるため,影を考慮していない従来の均一反射モデルでは発電量を過大に推定してしまう。このため,新しい推定手法として,角度表現モデルの開発を進めてきた。本年度は,地面影部分の日射量が推定よりも少ない点に着目し,太陽電池や建物による散乱成分の減少を考慮するため天空率を導入した。この結果は令和4電気学会全国大会(2022年3月,岡山大学,オンライン)で発表を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
林 泰弘 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)